11.インドでの出会い: 2008年1月アーカイブ

 
私は無宗教です。

信じているのは自分の生き方。
頼りにするのは自分の理性。

私の宗教観は...
  
どちらかといえば、
スタインベックの「怒りの葡萄」に
出てくる"じっさま"の宗教観に近いです。
 
  
 話がそれます。

 私は学生時代、工学部のくせに一般教養で
 宗教学を選択していました。

 そこで教材になったのが
 このスタインベックの「怒りの葡萄」

 高校時代にその本を読んでいた私は、
 当時の講師の解釈に対して随分と違和感や反発を覚え、
 結局途中から出席しなくなりましたが...
 
 
 
そんな私がインドで占いをしてもらったんです。
自分のこれからの人生について。
 
 
さて占いの始まり。

まず誕生年と日を聞かれました。
 
 
  「1963年*月*日」
 
 
そして次に生まれた時刻。
 
 
  「へぇ?」


普通自分の生まれた時刻なんて知りませんから、
正直に知らないって答えたら、
 
 
  「大丈夫。」
 
 
  「ええっ!」
 
 
余計驚きます。
大丈夫だったら聞くなよオッサン! てな感じです。
 
 
それから約5分間、
なんやら数字を足したりかけたりして、
そして結局彼の出した結論。
 
 
まず私の現在。
 
 
  「お前の親父は疲れているだろ?」
 
 
  「いいえ」 ・・・私。
 
 
  「お前の親父は病気だろ?」
  
 
  「いいえ」 ・・・私。
 
 
  「え~い!お前の親父は...」←ちょっと怒ってる
 
 
   何が何でもあててやるぞ!っていう感じでした。
   しかし私の父はもう死んでいるのです。
 
 
 
そして私の未来。
私はこの2008年がゴールデンタイム。

8時の番組ではありません。 

まして私の大好きな岡村が出てる
メチャイケでもありません。
 
 
そうゴールデンタイムとは、
やることなす事がどんどんうまくいく年だそうです。
  
 
 実はちょっと期待しています。
 
 
そしてその占い料なんですが、
なんと 3000ルピー!(9000円)
インドの物価で言えば 約10万円。


たった30分で...
 
 
その後かの占い師は
パワーストーンの商売人に変身です。
 
 
  「お前にはこの****ストーンがいい!」
  
  
  「いくら?」
 
 
  「10000ルピー!(3万円)」
 
  
  「・・・」と私。
 
 
う~ん、
恐るべき商魂のたくましさ。

   ・
   ・
   ・

やっぱり自分の人生は自分で切り開くべきですね。
他人まかせでは、とんでもない事になる(笑)
 
 
さて話が戻って宗教学の期末テストの日。
出題されたテーマが
 
 
  カミュの「異邦人」。
  
 
そう!あのあまりにも有名な冒頭。
 
 
  「今日、ママンが死んだ」
 
 
のカミュです。

試験問題は
 
 
  「主人公の青年の心理について考察せよ」
  
 
私の解答は解答用紙に潔く一行。
 
 
  「捨てるカミュあれば拾うカミュあり!」
 
 
言外に単位が欲しい頭の悪い学生の
想いを演出してみたんですが...
 
 
少し期待していたんですが...
 
  
きっちり0点をつけられました TT
 
 
人生は小手先だけでは通用しないようです(笑)

  
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カルマ(業)を落とせ!
 
 
これはバナラシに着いた夜のお話です。
 
 
  バナラシという町は
  ガンジス河の沐浴でとても有名な場所。

  ガート(沐浴場)は大きいところから、
  小さいとこころまで合わせて約60箇所。

  その中に火葬場が2ヶ所あります。

  ヒンドゥー教徒にとって、その火葬場で焼かれて、
  その灰がガンジス川に流されることが
  この世で最高(最後)の幸せなのです
 
 
  毎日たくさんの遺体が運ばれてきました。
 
 
  せまい通りを数人の家族信者が遺体を
  かついで火葬場まで歩いていくのです。

  火葬場の火が消える事はありません。

  そこで写真を撮影したら大変なことになります。
  また私のような日本人が火葬場にいるだけでも、
  彼らにとって許せない行為に映ります。
 
 

「死を待つ家」に連れていかれました。
 
 
  そこでは死を待つ老人や病人たちが、
  数百人くらいいたでしょうか、
  みんな静かに横たわっていました。

  明かりなんてありません。

  建物はホテルの廃屋といった感じです。
  あちこちで咳が聞こえます...
 
 
その暗闇の中でプリースト(僧侶)だと名乗る男が
私に話しかけたんです。
 
 
 土壁の外にガンジスが見える。
 とても静かな河を私は眺めていました。
 
 
ここにいる者たちは死んでも焼いてもらえない。
薪を購入するためのお金がないのだと。

人一人を焼くために必要な薪は60kg。
お前は縁があってここに来たのだから薪を寄付しろ。

そしてお前のカルマ(業)を落とせと。
 
 
  ちなみに薪は1kg 3000ルピー(9000円)。
 
 
お布施の単位は1kgから...
 
 
  ・
  ・  
  ・
 
 
確かに私のインド行きは、
カルマを落とす事が目的でした。

今までの半生で背負った業、
それらをすべて流したかった...
 
 
しかし!
これは相手のペースではないのか!

今まで出会ったインド人たちの中でも、
このプリーストはかなりのやり手ではないのか...

私は自分自身の理性で考えます。
そして私の返事
 
 
  「私のできる範囲でお布施をしたい」
 
 
といって100ルピー(300円)渡したんです。
すると、かの僧侶が、
 
 
  「もっとよこせ!
   それではお前のカルマは落ちない」
 
 
って言ったんです。

今までおごそかな口調で、
私に語っていた僧侶がビジネス口調で交渉に入った。
 
 
  スイッチが切り替わった。
 
 
  おう!ビジネス上等やんけ!
 
 
そうなりゃこっちも学習している。
だてに何日もインドを歩いてないんだい!
 
 
  「本当に薪は1kgで3000ルピーするんだな!」
 
 
  「私はここにしばらく滞在する」
 
 
  「今度は私が薪を買って持参する」
 
 
って言い返したら黙ってしまったんです。

そしてお前の瞳には希望があるから、
無料で明日プジャー(礼拝)をしてやるという返事。

タダなわけはありません。
お金は後からなんとでも要求できる。

別にお金が惜しいわけではなかったんです。
ガンジスで私の背負ったものが流せるなら流したかった。

プジャーでカルマが落ちるなら...
 
 
そしてそれができるなら、こんなオッサンではなく、
本物のプリ-ストに出会いたいってその時願っていました。
 
 
  でもその一瞬後に、
 
 
  ほんとにその一瞬後に。
 
 
これが ホンモノ なのだって悟ったんです。
 
 
  ホンモノは自分の中だ!
 
 
って。


  ・
  ・
  ・


さて、ここから私のインドは変わります。
基本的に"なんでもOK"のいくちゃんの誕生です。

この一週間後に私はガンジス河で沐浴をします。
 
 
毎日トライするのですが、
どうしても勇気が出なかった。
 
 
 だって水は緑色で池みたいだし、
 
 
 あちこちに死体は流れているし。
 
 
 コレラ菌は30秒で死滅するっていうし。
 
 
沐浴は止めて日本に帰ろうって何度考えたことか。
 
 
その間ガンジス河のたくさんのガートで
いろんな友達ができるんです。


  私は フク って呼ばれていました。


ガートでは有名でした。
何でもOKの日本人だって!

だから毎日朝になれば、
ホテルの前にはビジネス目当てのインド人が
たくさん集まってきていた。
 
 
  「おーい フク 起きろ!」
 
 
  「今日は***に行こうぜ」
 
 
  「今日は俺の家族に会わせてやる」
 

  「***が手に入ったぞ」
 
 
  「飯食いに行こうぜ!」
 

  「フク金くれ!」
 
 
基本的に全部受け入れたんです。
だから私の行動はみんなに筒抜け。
 
 
  「1時間前にフクは**のガ-トにいた」
 
 
  「今日の午後は***にいるらしい」
 
 
なんて情報まで飛び交っていました(笑)
 
 
  ・
  ・
  ・


さて翌日のプジャー(礼拝)は大変でした。

薪がマッチで燃えないもんだから、
固形燃料ぶち込みやがって...

もう煙たいこと煙たいこと。
 
 
この "プジャー" の話はまたあらためて書こうと思います。

  ・
  ・
  ・

ちなみに薪は1kg100ルピー(300円)。
あとでみんなに教えてもらいました。

  
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インド人に、
 
 
  「治安の悪いところはどこか?」
 
 
って聞いたら、
 
 
  「北の方には行くな!」
 
 
ってよく言われました。

そこでは紛争がおこっているので、
旅行者なんかの行くところではないと...
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
その日は夜行列車に乗りこんだんです。
いつものようにいろんなトラブルに逢いながら(笑)
 
 
 そのころはもう慣れていました。
 
 逆にものごとがスムーズに行くほうが
 変な感じなんです。
 
 
そして自分の寝台席にいくと...

 イメージしてくださいね。
 向かい合わせに2段ベットのある、
 ふつうの寝台車の光景。
 
 
その私の座ろう(寝よう)としている、
2階のベッドに男が4人体育座りをして並んでいたんです。

まるでエサを待つヒナのように。
薄暗いベッドの上で白い目玉が8つ光ってる...
そして私を上から見おろしてる。
 
 
  4対1かぁ上等やんけ!

  だてにこっちも修羅場をくぐっちゃいない!

  すぐにチケットを取り出して...

  そこは自分の席だと...

  奴らと口論を...

  えっ?

  毛皮?
 
 
そうです。彼らは全員毛皮を着ていたんです。
 
 
  話がそれます。

  インドを旅するのに最適な季節は冬。
  その時期なら、多少肌寒い日があっても、
  灼熱地獄には遭遇しません。

  私もインドを旅していたのは1月でした。

  それでも、
  ほとんどのヒトはTシャツで過ごしています。
 
 
しかし彼らは毛皮。

頭に何の生き物か知らないけれど、
尻尾のついた毛皮の帽子までかぶってる。

今まで出会ったインド人とはあきらかに違う。
 
 
  「うっ!ひるんだら負けやぁ」


  「けど、めっちゃ怖い TT」
 
 
なんて悩んでいたら、
向こうからから先制パンチ!
 
 
  「お前は誰だ!」
 
 
  「私たちは家族だった」
 
 
  「お前は明日、どこで生まれた?」
 
 
  「私たちは腹がへったのか?」
 
 
もう、ものすごく下手な英語なんです。
今までに聞いたことがないくらい

真剣に聞けばきくほどメチャクチャ。
 
 
 
しかし口調で分かる。
 
 
彼らが自分の権利を主張しているのではなく、
途方にくれたアジア人に
 
 
  「どうしたんだ?」
 
  
って聞いてる気持ちが伝わってくるんです。
 
 
   ・
   ・
   ・

  会話の途中で私は気がついていました。

  彼らは山のヒト達。
  とても厳しい山岳で生活をしている民族。

  そしてカルカッタの人達が口をそろえて言った
  気の荒い恐ろしい民族。
 
 
私も英語が下手です、ほとんど話せません。

だから彼らとのコミュニケーションに
とてつもなく時間がかかったのです。
 
 
  ・ 
  ・
  ・

出会って1時間で誤解が解けました。

彼らの席は下だったんです。
そして私の席は上。

その時にはお互い笑っていました。
彼らは下のベッドに大移動。
そして私は自分の寝床を確保。

私は自分の荷物をベッドの上で整理していました。

  ・
  ・
  ・

しばらくすると、携帯の着信音。

ものすごく意外な感じがしたんです。
彼らがモバイル(携帯)を持っているとは...

私は失礼だとは思いながら
自分の好奇心には勝てず、
上から下のベッドを覗き込んだのです。
 
 
すると彼らの中で一番年上の50歳くらいの
人物が毛皮の内ポケットに手を入れて、
重々しくふで箱を取り出した。
 
 
 プラスチックでできた
 くすんだ白色のふで箱。

 その上面に四角形の穴があけてあり、
 携帯の液晶画面が見られるように
 細工がしてあるんです。

 いったい何のために!

 どうして携帯をふで箱に...

 謎は深まります。
 
 
残念ながら理由は聞きませんでした。

多分聞いてもお互いが分かり合えるまでに、
列車が目的地に到着しそうな気がしましたから(笑)

  ・
  ・
  ・

朝になって、
私は彼らのうちの一人の若者に起こされます。

彼は英語が話せない。
でも身振りで分かる。
 
 
  「一緒に朝食を食べよう!」
 
 
私が下のベッドに降りると、
ビニール袋に乾燥した米がはいったいたものを
笑顔で渡される。
 
 
  質素な朝食。
 
 
手ですくって食べろって
身振りでみんなが私に説明する。

パサパサなのでとてものどを通らないんです。

でも、うれしかった。
 
 
 
インドでモノをくれと言われた事は何回もあった。

しかし何の下心もなく、
食事をくれたのは彼らだけ。
   
 
  人類学的な見地から...

  山岳に住む人たちは争いごとを好まない
  優しいヒトが多いのだそうです。

  彼らは昔平地に住んでいた。

  そして肥えた土地を奪い合う争いを避け、
  自ら厳しい山岳に住む選択をしたのだと。
 
 
 
うかつにも、
私は食事をしながら泣いていました。
 
 
 寝台車のベッドを4人で使うヒト達。

 彼らは一睡もしていないはず、
 上の私に気遣って小さな声で話をしていた。
 
 
涙の理由は分かりません。
でも涙があふれてとまらなかった。
 
 
  ・
  ・
  ・

列車を降りるときに長老がひとこと。
 
 
 I have a nice trip.
 
 
多分
 
 
 ハブ ア ナイス トリップ !
 
 
って言いたかったのでしょう。
  

私も大声で
 
 
  Thank you !
  I have a nice trip!
 
 
って返事をしていました。


  
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