バナラシにて その12

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バナラシ6日目。

早朝に目を覚ますと天気は晴れ。
ガンジス河に朝日があたってものすごく美しい景色。
 
 
  「今日やな」
 
 
っていよいよ決心したんです。
 
 
  ・
  ・
  ・


毎日私を起こすために集まってくる
ディパックやバルたちを、その日はホテルの前で待ちうけ。

集まった彼らに、
 
 
  「今日はガンジスで沐浴がしたい!」 私
 
 
  「やめとけ今晩熱がでるぞ」 ディパック
 
 
  「ガンジスで泳いで死んだ日本人がいる」 バル
 
 
  「俺はこのためにバナラシに来た」 私
 
 
結局ディパックのおじさんの居るガートで沐浴をすることに...
このおじさん、いつも会うたびに笑っていたんです。
 
 
 「ハロー ボート!」
 
 
 「ハロー フク!」
 
 
でも沐浴したいって言ったら顔が真剣になった。

まず裸になってルンギーを巻き、
ガート(沐浴場)に腰掛けたら、
 
 
 「俺のいう通りに復唱しろ」
  
  
プジャー(礼拝)をしてくれたんです。

薄汚いランニングシャツを着たおじさん。
彼は決してプリスト(僧侶)ではないのに。
 
 
数分間のプジャ-を終えて、
いよいよガンジスに足を入れたら、
 
  
 水が冷たい。
 
 
少し岸を離れて深いところまで歩く。
河底がぬるぬるしている。

そこで思い切って肩まで体をつけてみる。
近くに居た若者から石鹸が飛んできた。
 
 
 「これで洗え フク!」
 
 
岸にはおじさんやバル・ディパックたち。
みんなに見守られて自分はガンジスに抱かれている...
 
 
少し躊躇したんですが、
ガンジスに頭をつけたんです。
 
 
岸から


 「ストップ フク!」
 
 
の声が聞こえる。


無視して潜ってみた。
水の中は緑色。

池の中を泳いでいるみたい...
 
 
 コレラ菌が30秒で死んでしまう水。
 
 
あの時私は死んだ。


  フクオカイクヤはシンダ。

  40年間守ってきたもの。

  自分が心の支えにしてきたもの。
  ヒトに対して絶対に譲れなかったもの。

  固執してきたモノすべて。

  自分が幸せになりたい!
  って願って、結局囚われていたものすべて。

  ガンジスで流しちゃった。
  死んだらおしまいナンダ
 
 
たった数十秒の経験ですが、
私はあの時間違いなく死にました。
 
 
  そして再生。
 
 
ガンジス河に頭を出した時。
私の体には活力がみなぎっていたのです。
 
 
熱が出るとか、
自分がガンジスの水で死ぬなんて、
少しも考えなかったんです。

ガンジス河の水でうがいをしながら、
 
 
 日本に帰るか...
 
 
って考えていました。
 
 
  ・
  ・
  ・
 

  「そろそろ上がれ!」
 
 
  「このガートでジャパニが沐浴するのを
  ポリスが見つけるとまずい!」
 
 
っておじさんに言われて、
河から上がったんです。

そしたら、
 
 
 「お前にプジャーをしてやる」
 
 
おじさんがプジャーをしてくれた。
 
 
  ガンジス河にとびこむ前は
  ものすごい緊張していたから、
  その時は放心状態なんです。

  でも、心は穏やかでした。
   
  
後について頓珍漢な復唱をしますが、
おじさん笑いません。
 
 
  目で分かるんです。
 
 
このヒトが遠い国からやってきた
ジャパニのために本気でプジャーをしているのが...

プジャーが終わってもお金を受け取りません。
 
 
その後、例のボート屋のオヤジが寄ってきて、
 
 
 「ガンジスで沐浴をした後プジャーを受けたら、
  ボートに乗って河の真ん中を三周するんだ」
 
 
って言う。

多分ウソです(笑)
 
 
 
 「いくらだ?」 私
 
 
 「500ルピー!」オヤジ
 
 
 「負けろよ(笑)」 私
 
 
 「これが最後やろ(笑)」オヤジ
  
  

 ボートの値段を値切った事はなかったんですが、
 少しイタズラしただけです。

 オヤジも私の気持ちが分かっている様子。
 しかも今日でバナラシを離れることさえ気付いてる。
 
 
 バナラシ滞在中、
 何度も乗ったボートが岸から離れてガンジスの上をすべる。
 
 
 その時自分の中で
 こみ上げてくるものがあったんです
 
 
  「ごめんな お父ちゃん」
 
 
  「ごめんな お母ちゃん」
 
 
 自分が今まで関わってきたヒトをできる限り思い出し、
 そのヒト達にあやまっていたんです。
 
 
  号泣。
 
 
 ボートの上で男泣きに泣きました。
 
 
  何故あの時あやまったのか...
 
 
  
ボートが三周を終える。
 
 
 「もうちょっといるか?」オヤジ
 
 
 「たのむ」私 
 
 
  答えながら、
  まるで子供が泣いてるみたいなんです。
  
 
  "ひっくひっく" 言ってる。
 
 
10分くらい、ぐずっていたんですが、
その後タバコを一服。
 
 
何度も見たガンジスからのバナラシの町並み。
相変わらず美しい。
 
 
  そろそろ日本や。
 
 
ってまた考えていました。
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
これで私のインドの回想録はおしまいです。

この後、

ラージギールやブッダガヤへ行き、
性懲りもなくいろんな目に遭い...
 
 
 ラージギールは危険なトコロ。
 バナラシの友達はみんなヤメロっていった場所。
 
 
最後はカルカッタへ戻って、
いろんなヤツラにリベンジを挑むのですが...
 
いつか機会があれば書きますね。

  
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このページは、ikuが2008年1月16日 01:29に書いたブログ記事です。

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