インドでの出会い ~山岳の人たち

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インド人に、
 
 
  「治安の悪いところはどこか?」
 
 
って聞いたら、
 
 
  「北の方には行くな!」
 
 
ってよく言われました。

そこでは紛争がおこっているので、
旅行者なんかの行くところではないと...
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
その日は夜行列車に乗りこんだんです。
いつものようにいろんなトラブルに逢いながら(笑)
 
 
 そのころはもう慣れていました。
 
 逆にものごとがスムーズに行くほうが
 変な感じなんです。
 
 
そして自分の寝台席にいくと...

 イメージしてくださいね。
 向かい合わせに2段ベットのある、
 ふつうの寝台車の光景。
 
 
その私の座ろう(寝よう)としている、
2階のベッドに男が4人体育座りをして並んでいたんです。

まるでエサを待つヒナのように。
薄暗いベッドの上で白い目玉が8つ光ってる...
そして私を上から見おろしてる。
 
 
  4対1かぁ上等やんけ!

  だてにこっちも修羅場をくぐっちゃいない!

  すぐにチケットを取り出して...

  そこは自分の席だと...

  奴らと口論を...

  えっ?

  毛皮?
 
 
そうです。彼らは全員毛皮を着ていたんです。
 
 
  話がそれます。

  インドを旅するのに最適な季節は冬。
  その時期なら、多少肌寒い日があっても、
  灼熱地獄には遭遇しません。

  私もインドを旅していたのは1月でした。

  それでも、
  ほとんどのヒトはTシャツで過ごしています。
 
 
しかし彼らは毛皮。

頭に何の生き物か知らないけれど、
尻尾のついた毛皮の帽子までかぶってる。

今まで出会ったインド人とはあきらかに違う。
 
 
  「うっ!ひるんだら負けやぁ」


  「けど、めっちゃ怖い TT」
 
 
なんて悩んでいたら、
向こうからから先制パンチ!
 
 
  「お前は誰だ!」
 
 
  「私たちは家族だった」
 
 
  「お前は明日、どこで生まれた?」
 
 
  「私たちは腹がへったのか?」
 
 
もう、ものすごく下手な英語なんです。
今までに聞いたことがないくらい

真剣に聞けばきくほどメチャクチャ。
 
 
 
しかし口調で分かる。
 
 
彼らが自分の権利を主張しているのではなく、
途方にくれたアジア人に
 
 
  「どうしたんだ?」
 
  
って聞いてる気持ちが伝わってくるんです。
 
 
   ・
   ・
   ・

  会話の途中で私は気がついていました。

  彼らは山のヒト達。
  とても厳しい山岳で生活をしている民族。

  そしてカルカッタの人達が口をそろえて言った
  気の荒い恐ろしい民族。
 
 
私も英語が下手です、ほとんど話せません。

だから彼らとのコミュニケーションに
とてつもなく時間がかかったのです。
 
 
  ・ 
  ・
  ・

出会って1時間で誤解が解けました。

彼らの席は下だったんです。
そして私の席は上。

その時にはお互い笑っていました。
彼らは下のベッドに大移動。
そして私は自分の寝床を確保。

私は自分の荷物をベッドの上で整理していました。

  ・
  ・
  ・

しばらくすると、携帯の着信音。

ものすごく意外な感じがしたんです。
彼らがモバイル(携帯)を持っているとは...

私は失礼だとは思いながら
自分の好奇心には勝てず、
上から下のベッドを覗き込んだのです。
 
 
すると彼らの中で一番年上の50歳くらいの
人物が毛皮の内ポケットに手を入れて、
重々しくふで箱を取り出した。
 
 
 プラスチックでできた
 くすんだ白色のふで箱。

 その上面に四角形の穴があけてあり、
 携帯の液晶画面が見られるように
 細工がしてあるんです。

 いったい何のために!

 どうして携帯をふで箱に...

 謎は深まります。
 
 
残念ながら理由は聞きませんでした。

多分聞いてもお互いが分かり合えるまでに、
列車が目的地に到着しそうな気がしましたから(笑)

  ・
  ・
  ・

朝になって、
私は彼らのうちの一人の若者に起こされます。

彼は英語が話せない。
でも身振りで分かる。
 
 
  「一緒に朝食を食べよう!」
 
 
私が下のベッドに降りると、
ビニール袋に乾燥した米がはいったいたものを
笑顔で渡される。
 
 
  質素な朝食。
 
 
手ですくって食べろって
身振りでみんなが私に説明する。

パサパサなのでとてものどを通らないんです。

でも、うれしかった。
 
 
 
インドでモノをくれと言われた事は何回もあった。

しかし何の下心もなく、
食事をくれたのは彼らだけ。
   
 
  人類学的な見地から...

  山岳に住む人たちは争いごとを好まない
  優しいヒトが多いのだそうです。

  彼らは昔平地に住んでいた。

  そして肥えた土地を奪い合う争いを避け、
  自ら厳しい山岳に住む選択をしたのだと。
 
 
 
うかつにも、
私は食事をしながら泣いていました。
 
 
 寝台車のベッドを4人で使うヒト達。

 彼らは一睡もしていないはず、
 上の私に気遣って小さな声で話をしていた。
 
 
涙の理由は分かりません。
でも涙があふれてとまらなかった。
 
 
  ・
  ・
  ・

列車を降りるときに長老がひとこと。
 
 
 I have a nice trip.
 
 
多分
 
 
 ハブ ア ナイス トリップ !
 
 
って言いたかったのでしょう。
  

私も大声で
 
 
  Thank you !
  I have a nice trip!
 
 
って返事をしていました。


  
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このページは、ikuが2008年1月29日 23:42に書いたブログ記事です。

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