40年間いろんなモノを怖がって生きてきた私。
しかし40歳を境に自分の人生が折り返したことを悟りました。

それまでは、


  今ガマンすれば...


  今努力すれば...


きっと幸せになれるなんて考えて、
ただ、がむしゃらに日々を生きて来たんですが。

ある時はじけちゃって...


  話がそれます。


  「サーカスの象の話」

  サーカスの象は小さいときから鎖につながれて生きています。
  その鎖は地中深く打ち込んだ杭につながっているんです。

  子象は自由を得るために、がんばって杭を抜こうとする。
  鎖を全力で断ち切ろうと努力する。
 

  しかし小さな象の力では無理なんです。


  で、ある日あきらめてしまう。 

  その後、象が大人になり、もうその杭を充分に引き抜く力を持っていても...
  いったんあきらめた象は依然として鎖につながれて生きていくのです。
  

そう!

私はその杭を引っこ抜いたんです。


しょうもないビジネスの勧誘や
案内ではありませんからもう少しおつきあいを...


このたとえ話が正しいかどうか。そして私に充分な力があるかどうか...
そんな事はこの典型的なB型は考えもしません。
  

  「もうガマンはええか。 やりたい事やらしてもらおか」


なんて考えてしまってからが大変です。


まずはその先駆けにインドで放浪、
自身の半生を全てガンジスに流して帰国。
 
 
 
  インドで人生観がひっくり返った事は確かです。
 
 
 
そのあたりのことをこの思い出日記に書いていますので、
もしお時間がありましたら少しおつきあい下さい。

私という人間がお分かりいただけるかも知れません。


インドから帰ってきて会社を興しました。
正確には興させていただきました。

今まで自分の人生は自分で切り開くんだって気張っていた私が、
インドで少しさばけたのか、
ヒトのアドバイスに人生を預けてみたんです。


 親切がウリのホームページ制作会社。


周りの方々に助けられ見守られてここまでがんばってきました。


 お客様あってのトータルネットジャパン。


介護資格取得を目指す方のお役に立ちたいと考えて、
学習サイトも立ち上げました。


設立4年目の今、ブログを書いてみようと思います。


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バクシーシ。

インドに行けば一日にこの言葉を何度かけられることか...

日本語に訳せば
 
 
 「お恵みを」
 
 
となるのでしょうが、少しニュアンスが違います。

"バクシーシ"とは施す側が施すことによって得をつめるとされているので、
もらう側はお礼なんて言いません。

こちらがお恵みをさせていただくのです。

  ・
  ・
  ・

日本でこのことは調べてありました。
 
 
そしてインドに着いたら、
 
 
 必ずNOでかわすんだ!
 
 
という決心もしていました。

  ・
  ・  
  ・

さて、インド初日目のお話です。

カルカッタ空港に着いてタクシーに向かって歩いていたら、
3歳くらいの少女が寄ってきていきなり私の足にキス。
 
 
  「バクシーシ」
 
 
本当にいきなりでした。

一瞬で日本での決意なんてどこかへ飛んでいったのです。
インドに着いたばかりなので小銭なんて持ってなかった。
 
 
 「お札でいいかな?」
 
 
なんて財布をポケットから出したら、
知らぬ間に数十人の子供たちに取り囲まれていました。
 
 
 上着をひったくろうとする子供。
 
 
 ポケットに手を入れてくる子供。
 
 
怖かったです。

現地のタクシーの運転手が追っ払ってくれなかったら、
一体どうなっていたか...

   ・
   ・
   ・

私はインドのカ-スト制度についてあまり詳しく知りません。
しかし彼らは一生
 
 
 「バクシーシ」
 
 
でしか生活できない身分なのだそうです。
彼らに職業選択の自由などないのだそうです。

インドに着いて、たった10分で
いろんな事を考えさせられた一件でした。

   ・
   ・
   ・

そして10分後には
そのタクシーの運転手と喧嘩をせねばならない
羽目になるのですが...
 
 
インドでは日本人が町を一人でゆっくり歩く事は非常に困難です。

日本人は
 
 
 世界一優しくて、
 
 
 そして裕福で、
 
 
 何よりも NOと言えない民族
 
 
だと言うことが世界中で知られているのですから、
彼らはドンドン話しかけてきます。

 
 「ハロー!フレンド!」
 

五分も話せば、ガイド料をよこせと言ってくる。
最初は頭に来ましたが、彼らは本気でビジネスをしているのです。
 
 
そしてNOと言えない日本人はお金を払う。
 
 
インドが生理的に嫌いなヒトは、
こういうシーンで嫌いになってしまうのでしょう。
 
 
海外で何かを断るコツを少しご披露します。
それは、英語で話さず日本語で断ること。
 
 
   「いらない!」
 
 
コミュニケーションは言葉ではないんでしょうね、
こちらの感情は口調や表情で十分相手に伝わります。

私はインドに慣れてきた時期に、
 
 
  「お前ら、たいがいにせえよ!」
 
 
って、集まってきた人力車の車夫を
日本語で一喝した事があります。

そしてその後、
 
 
  「誰が一番安いねん!」
 
 
って言ってから日本語で笑ったら、奴らもつられて大笑い。
意味も分からんくせに笑いよったんです。

その頃からインドが大好きになっていました。
 
 
というか、
  
  
  人間が大好きになっていたんです。
 
 
----------------------------------------

日本人があいまいな笑いを浮かべて
 
 
  ノーサンキュ~
 
 
相手に自分の感情は絶対に伝わりません。
また、無理して怒る必要もありません。
 
ただ自分の国の言葉で
 
 
  「いらんよ!」
 
 
って言えば済むのです。
 
 
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カルカッタには 「マザーテレサの家」 と呼ばれる教会があります。
そこに全世界からボランティアをするためにヒトが集まってくるんです。

100人くらいが常時働いているのですが少し紹介すると、
 
 
 人形のように美しかったオランダ人の女の子。
 
 
 お金持ちが鼻についた韓国の男の子や女の子たち。
 
 
 タイからやってきた目のくりくりした少女。
 
 
 アメリカからやってきた陽気なヤンキー少年。
 
 
そしてわが日本からは毎年定期的にやってくるという30才の農家の男性。
そしてその男性に恋してる日本の女性。
 
 
  「おいおい!無駄話せんと仕事せんかい!」
 
 
って何度心の中で想ったか(笑)

  ・
  ・
  ・

なんだか人種ごちゃまぜのドラマでした。
また、みんなが聖人だと言うわけでもなく喧嘩やトラブルも結構あったんです。
 
 
ボランティアの仕事は大きく3つ。
  
 
 ・死を迎える方の最期のケア
 
 
 ・両親のいない子供たちと一緒に遊んだり勉強を教えたりする仕事
 
 
 ・病人たちの衣服を地下で洗濯する仕事
 
 
ボランティアを仕切っていたのは白人でした。
悲しい事に彼らにとって黄色人種は、
 
 
 「英語の話せない使えない奴」
 
 
なんです。

黄色人種は全員ボランティア先の希望を聞いてもらえず地下の洗濯場へ。
 
 
 仕事に貴賎があるとは思いません。
  
 
 ボランティアが仕事を選べるとも思いません。
 
 
ただ、

黄色人種というだけで、
白人がある区別をしている事が切なかったです。

でも洗濯物を教会の屋根に登って干している時、
先に紹介したオランダ人の女の子と友達になれたので
少し嬉しかったりします。(笑)


人間の心は複雑です。

一瞬一瞬で悲しかったり、喜んだり。
だから人生面白いのかな。


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「いいかジャパニ。 インドでは誰も信じるな、俺だけを信じろ!」
 
 
日本語を話せるインド人は出会って数分で、
決まってこの言葉を口にします。
 
心の中で私は毎回思っていました。
 
 
 「お前が一番胡散臭いんじゃー!」
 
  ・
  ・
  ・

日本人は本当によいカモなんです。

インドと日本の物価は大雑把に言って
約10倍の開きがあります。

しかしインドは貧富の差がものすごく激しいから、
どの層にあてはめるのかで難しいですが...


例えば前回書いた "バクシーシ" で一回に渡すお金は10ルピー程度。
ちなみに1ルピーは約3円です。
 
 
   まぁ交換レートなんてあってなきものでしたが、
   この話は次に書きます。

   しかもインドで紙幣は使えません
 
 
つまり日本人にとって30円なのです。


そして,町で近寄ってくるガイドまがいの連中が要求する金額は、
せいぜい100ルピー程度。
 
  
 100ルピーは300円。
 
 
ほとんどの日本人は数百円で無用なトラブルを回避できるならと、
簡単に手渡してしまうのです。
  
  
ブッダガヤ(お釈迦様の生まれたところ)という町で
すごいインド人に会いました。

ヤツの名は DEEP 。
彼は私に日本でレストランを開きたいというんです。
 
 
  「DEEP 日本ではものすごく金がかかるよ!」
  
  
と言えば、DEEPが
 
 
  「お金ならいくらでもあるよ」
 
 
って、私に1万円札の束を見せたんです。
ざっと軽く見て100万円ほど。

そして、
 
 
  「金ならいくらでも必要なだけやるよ! ブラザー!」
 
  
だって。

  ・
  ・
  ・

日本語の話せるインド人は私のような日本人がインド人と仲良くなって、
日本語を教えることを極端に嫌います。

だから、
 
 
  「俺だけを信じろ!」
 
 
なのです。
そのときに悟りました。


インドで日本語が話せたら、
たった5分で30万円くらいのお金は稼いでしまいます。

DEEPは私とビジネスで組みたかったみたいです。
それは決して違法なビジネスではありません。
 
 
 ・女性を紹介するわけでも、
 
 
 ・詐欺でお金を奪うわけでもない。
 
 
 ・あやしいクスリを売るわけでもありません
 
 
 ・インド通と自称する日本人がよく引っかかる保険金詐欺でもありません
 
 
 ・ブラックマーケットでもありません。
 
 
さて、彼は何をして短時間で大金を稼いだのか。
ヤツのビジネスを守るためにこれは書かずにおきます。
 
 
 たった一つのヒントは"ブッダガヤ"。
 
 
期待してここまで読んだ方には本当にすみません。

  ・
  ・
  ・

ただ、お金というものは、
働いていただくモノだと考えていた私には晴天の霹靂でした。
 
 
  お金はある種のヒト達にとっては儲けるものなんですね。
 
 
インドで、ケチな詐欺師には毎日会いましたが、
DEEPは正真正銘のビジネスマンでした。
 
 
  東インド会社万歳!

 
やっぱりインド人は世界一の商売人なんですね。
 
 
その夜ブッダガヤで、
ブッダが生まれたとされる土地で奴らと酒を飲んで歌いました。
 
 
 「たいていの日本人は少し仲良くなっても
  夜に酒を飲もうって誘ったら怖がってこないよ!」


というDEEP。
 
 
   「何いうてんねん。 」

   「ミナミ(←大阪の町です)の夜が
    どれだけ危ないか知ってんのか!」
 
 
という私(笑)

   ・
   ・
   ・

彼は次の日、私営の学校に連れていってくれました。
そこではシスターが親のない子供に勉強を教えていたんです。
 
 
  「ブラザー!」

  「もし良かったらお前もお金を出してくれないか!」
 
 
その瞬間まで、

日本人の私はインドを経済的に見下していました。
 
 
  たった 1ルピーくらい、
 
 
  たった 100ルピーくらい。
 
 
自分の信じていた価値観が音を立てて崩れた時でした。

 
  「俺は何にすがって生きてきたんやろ」

 
そしてもし生きて日本に帰れたら、
必ず次はお金を持ってその学校に行くぞ!って心に誓ったんです。
 
 
その想いは今でも変わっていません。


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インドではお金に苦労しました!
 
インドでは銀行に行っても円をルピーに両替してくれないんです。
銀行で言われたのが、
 
 
  「通りに立っている両替商に頼め!」
 
 
さてさて、ここからが大仕事の始まり。

  ・
  ・
  ・

インドでは小銭が必要なので、なるべく小さなお金が欲しいんです。
500ルピー紙幣(約1500円)なんてどこへ行って使えないんです。
 
 
  まともな旅行者が行くところなら、
  それなりの物価なので多分お釣りをくれるのでしょうが、
 
  あくまでも私の行った、そして私の見たインドのお話です。
 
 
一度タバコを買うのに500ルピー紙幣を出したら、
 
 
  ちなみにタバコは箱で買いません
  一本づつ買うのです。
 
 
店のオヤジが
 
 
  「ジャパニ ちょっと待ってろ!」
 
 
って言い捨てて走ってどこかへ行ってしまったんです。

 
  500ルピー = 1500円
 
 
待つことしばし10分。
 
 
  「さては逃げたな!」
 
 
って、あきらめかけた頃。
 
 
そのオヤジはお釣りのお金を握り締めて走ってもどってきました。
周りの店からお金を集めて回っていたのです。

本当に悪いことをしました。
 
 
 Thank You!
 
 
って言ったら...


  ちなみにインド人のYESは首を横に振ります。  
 
  女の子が可愛らしく首をかしげている様子を
  想像してくだされば、それがインド人のYES。
 
 
オヤジがニコリともせず、
小首をかしげたんです。

それが、
私が最初に出会ったインド人のYES。
  
 
  正直。
  リアクションに困ってしまいました(笑)
 
 
  ・
  ・
  ・

またある時カルカッタの地下鉄に乗ろうとして、
100ルピーを出したら、

窓口のオヤジが、
 
 
  「オツリがない!」
 
 
とくる。

本当に驚きます。
駅の窓口で100ルピー紙幣(¥300)が使えないんです。
しかも本当はお釣りを持っているのです。

理由は分かりませんがお釣りを断られます。

  ・
  ・ 
  ・ 

そしてもうひとつ。

インドでは破れた紙幣は絶対に使えません
誰も受け取ってくれないんです。

しかし、

けっこうしっかりしているホテルでも両替を頼んだら、
破れた紙幣を平気で出してくるんです。

  ・
  ・
  ・

さて、もうおわかりですね。

カルカッタの雑踏の中、1万円札をルピーに交換してもらう私の苦労。
どうしても小さな紙幣が欲しい。
 
 
  Do you have small bill?
 
 
って言えば交換レートが高くなるんです。
 
 
  「ちっ!足元見やがってこのターバン野郎!」
 
 
そして少しでも気を抜くと破れた紙幣を混ぜてよこすんです。

ですから、

私は一万円札を握り締めたまま、
そのターバン野郎(しっけい!両替商です)が
ルピー紙幣を数える手元をにらみ続け、
 
 
  これがまた腹の立つほど遅い!
 
 
そしてルピー紙幣を受け取ったらまた一から自分で数えるんです。

ほぼ毎回、交換レートより紙幣が少ないです。
本当に笑ってしまいます。
 
 
  インドが生理的に嫌いなヒトは
  このいい加減さが許せないんだと思います。
 
 
とにかく事がまともに進みません。
 
 
でもね、

多分きちんと数えない方が悪いんです。
そして、あせる方が悪いんです。
 
 
私はそんなインドが大好きです。
 
 
  ダマサレルホウガワルインデスヨ!
 
 
って平和ボケした日本人を
正してくれているような気がしますから。


そうこうしている間に、
周りには珍しそうにインド人が集まってきます。

彼らのほとんどは日本語が話せません、
そしてカルカッタではベンガリー語が通用語ですから英語も話せない。

しかしその中に日本語の話せるインド人がいる、
ヤツラは必ず私に話しかけてくるんです。
 
 
  「ミスターどこへ行くんだ?」
 
 
  「ミスター今日はどこへ泊まる?」
 
  
  「ミスタークスリあるよ」
 
 

そしてまた、
彼らとの小さな戦いが始まるのです(笑)

これが楽しめなけりゃインドへは行けません。
 
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カルカッタ発の長距離電車に乗りました。
 
 
駅はとても立派で阪急梅田駅みたいに、
ホームが20本くらい並んでいるのです。
 
 
まずは切符を買うところから...
 
 
  席には等級がたくさんあって分からないんです。
 
 
  外国人用窓口で切符を購入するのですが、
  英語が少しなまってる...
 
 
とりあえず指定席を購入し、
出発の時刻を確認してからホームに出ると...
 
 
  駅のホームですよ!
 
 
  ヒトがあふれているんですよ!
  
 
例えるならば宝塚行きのホームで...
 
 
  そこで5人家族が焚き火をしているんです。
  

  そして鍋を火にかけて夕食を食べている。
 
 
焚き火をした方なら分かるかと思いますが、煙が大変なんです。
燃えてる枝がパチパチと音を立ててる。
 
 
  さすがインド!
 
 
話が少しそれますが...
カルカッタでは自動車がものすごく多いです。

ほとんどはインドの国産車 アンバサダー 。
彼らはとにかく クラクション を鳴らすんです。

初めてカルカッタを訪問した方はこの喧騒に驚きます。
 
 
ここまではインドのガイドブックには必ず書いています。


しかし私がもっと驚いたのは、
 
 
  道路の中央分離帯で生活している老婆を見た時でした。
 
 
この光景多分うまく伝わらないでしょう。
 
 
  幅80cmくらいの中央分離帯で老婆が生活してるんです。

 
さすがにここまではガイドブックに書いていません。
 
 
話がそれたついでにもうひとつ。
インドには公衆トイレがほとんどありません。
 
 
女性はできるかぎりガマンします。
外出するときに水はなるべく飲まないそうです。
 
 
男はあちこちで失礼します。
 

私も最初は抵抗がありましたが旅の最後になると、
ヒトがたくさん歩いている道でウンコしてました(笑)
  
 
いつだったか、どこの町か忘れましたが、
公衆トイレを奇跡的に見つけたんです。

確かインドの観光地でした。
 
 
  しかもFREEって書いてある!


そしてそこに飛び込んだら、案の定、胡散臭いオヤジがいて
  

   「100ルピーよこせブラザー」
 
 
とくる。
 
 
  「無料だろ!」
 
 
ってはき捨てて強引にトイレに駆け込むと、
なんと!そこでヒトが生活している。

10人くらいのヒトがそこでもくもくと生活をしている。
 
 
  公衆トイレで生活している。
 
 
インドは貧富の差がとても激しい国です。
 
  
インドでスターバックスのコーヒーが1杯日本円で400円くらい。
インドの肉体労働者の日当の約2倍にあたります。


それを買って飲んでいるサリーで着飾った若い女性たち。
 
しかし、
 
その店の外で、死にかけた老人が横たわってる。

 
インドはそんな国です。
 
 
ですから、ホームで焚き火をしている家族を見ても、
そんなに驚かなかったんです。
 
 
しかし次の瞬間、私はポリスに銃を突きつけられていました。
 
 
  「インドでは駅のホームでタバコを吸えば罰金」
 
 
当時の私はタバコを吸っていたので、
タバコを吸ってホームに立っていたんです。
 
 
  銃をつきつけられてる...
 
 
状況は大変深刻なんです。
 
 
  でも私は笑ってしまいました。
 
 
だって、


  「焚き火がOKでタバコがダメ?」
 
 
  「そりゃないよ!」


という感じです。


余談ですがこういうピンチを切り抜けるコツを一つ。

こんな状況に出くわしたら最後まで相手の言ってる言葉が
分からないフリを続けます。

または日本語ででたらめを言い続ける。
そうすれば、相手はあきらめて離れていきます。
  
 
  もしポリスボックスに連れて行かれたら?
 
 
  もしポリスが怒り出したら?
 
 
それは応用問題。

私のような旅はピンチの連続です。
自分の知恵と勇気でその瞬間を切り抜けるしかないんです。
 
 
  インディジョーンズみたいでしょ(笑)
 
 
私はインドで精神的に強くなったと思います。

怖いものは怖いし、力もありませんが、
トラブルにはかなり強くなりました。

   ・
   ・
   ・

さて、駅のホームで待つこと30分。
時間通りに電車は来ません。

日本の電車が世界一正確なダイヤで運行している
事は知っていましたからそんな事で動じる私ではありません。

ここはインド。

しかし、

3時間待っても電車が来ない。
  
 
そしてその間、ずっと 
 
 
 「バクシーシ」
 
 
 「ブラザーどこへ行く?」
 
 
 「ブラザータバコをくれ!」
 
 
何人声をかけられた事か。

たまらず駅長室にかけこみ、チケットを見せると、
 
 
  「いつ電車が来るかなんて俺も知らん!」
 
  
インドでは事が思うように進みません。
しかし、こいつは正直驚いた。


そして結局4時間後に電車が到着。
 
 
まだまだトラブルは続きます。

自分の乗り込む車両が分からないんです。
切符に書いてあるアルファベットの車両がない!

必死に探していると、

駅員が何やらコンピュータで印字した
A2サイズくらいの紙を各車両にセロテープでとめている。

なんと、そこに各座席が印字されているんです。
 
 
  そこはシステム化する方向が間違ってるぞ!
 
 
なんて軽くつっこみをいれ、
ようやく私の指定席を見つけて座ろうとすると...
 
 
ここまで私の日記にお付き合いしていただいたみなさんは、
もうお分かりですね。
 
 
やっぱり、
 
見知らぬ男が私の指定席に座っていたんです。
そこからまた私の小さな戦いが始まります...
 
 
余談ですが、
私は車内で寝ている間にクツを盗まれました。

目的地に到着した時の私はハダシだったんです(笑)

まだまだ旅は続いていました。

 
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インドの交通手段の一つとしてリキシャがあります。

そう!
言葉の響きで想像できるでしょ。
 
 
  人力車。
 
 
語源は日本語なんです。

インド政府の政策で、リキシャの仕事ができるのは高齢者の方のみ。
つまりインドにはおじいちゃんの人力車しかいません。

  ・
  ・
  ・

はじめてリキシャに出くわした時は怖かったです。
駅について改札を出るでしょ。

私のような日本人を見つけたら、
その駅にいるリキシャのじっさま達がほぼ全員走って集まってきます。

その数、ざっと数十人。

芸能人や有名人でない私は、
今までそんな大歓迎を受けた事がないので本当にビビリます。

しかも真っ黒な顔をしたおじいちゃん達の
目が血走ってるし服はボロボロやし動きが少し遅いし、
 
 
  なんかゾンビみたいやねん...
 
 
失礼!本音がこぼれました(笑)
 
 

最初のうちは顔で選んでいました。
とにかく優しそうな顔を探す。
 
 
  「よし!このじっさまなら大丈夫」
 
 
そして行きたい場所を告げる。
 
 
  「OK知ってるよ!」
 
 
次に値段交渉。
  
 
  「いくら?」

  
  「あそこなら50ルピー(150円)」
 
 
  「30ルピー(90円)でどう?」と私。
 
 
  「わかった40ルピー(120円)で行くよ」
 
 
話がそれますね。
インドで定価のない買い物をするなら必ず値段交渉をしてください。
  
日本人だとほぼ相場の10倍の値段からスタートされます。

交渉の下手な私はモノの価値が分からぬものだから、
スタートの価格ですでに負けてるんです。
 
 
最初の価格の10%OFFくらいで
上手な買い物をした気分になっていましたから、
     
 
   さすが商売上手のインド人!
 
 
あともう一つ。
10ルピーは30円。
 

確かに日常の私達にとって、
そんなに大きな金額ではありません。
 
だから、つい交渉がおろそかになる。
しかしこんな感覚は日本人だけなのでしょう。
 
 
イギリスやフランスの金持ちがリキシャで交渉してる姿を何度見たか。
 
 
だからリキシャのじっさま達は世界一甘くて、
とても優しい日本人めがけて突進してくるのです。
  
  
ちなみに世界で一番しっかりしているのは韓国人。
 
 
さすがのインド人も相手が韓国人だと本気で交渉にあたります。
あんまり悔しいから、
 
 
   「お前はどこから来た?」
 
 
って聞かれて
 
 
    「俺は韓国人だ!」
 
 
って言ったら、
 
 
    「ジャパニは韓国に住んでるのか?」
 
 
だって。 日本人と韓国人。
顔が似ているようで確実に見分けられています。

   
さて、話を戻します。
トントン拍子に話が進んで、かのじっさまが自転車をこぐんです。
  
  
今から起こる事はもうみなさまの想像通りですよ。

まず、私の行きたいところには絶対に着きません。
最初に地図を見せてるんですよ。
 
そして、リキシャのじっさまは知ってるって言ってるんです。
 
 
  「わしは50年リキシャをやってる」
 
 
なんて言うくせに!
でもほぼ確実に着きません。
 
 
  笑うでしょ!
 
 
ある時なんか、
全く反対の方向に向かってたんですよ。

そして じっさまの 言うことは
 
 
  「ふぅ~ 疲れたからここでいいか? ジャパニ~」
 
 
  笑うでしょ!
 
 
さて、なんとかいろんなトラブルがあって、
料金を支払うタイミング。

インドはチップが必要な国。

だから料金交渉の金額の20%くらいは
渡すのが当たり前。

これがガイドブックに書いてる事。

しかし、かのじっさまはこう言います。
 
 
  「ジャパニ 100ルピー(300円)おくれ!」
 
 
となります。

日本円で300円のお話。

確かに安いんですが、
ここから私は戦いに入ります(笑)

50ルピーまで価格交渉をする。
そして100ルピー紙幣を出すと。
 
 
  「釣りはないよ!」
 
 
これで私の負け。

  ・ 
  ・
  ・

インドを旅行すると、
どこに行っても日本語や英語の話せるインド人が寄ってきます。
 
 
最初はトラブルが怖かった。
お願いだから一人にして欲しかった。
 
 
道を歩いていると、
明らかに私をつけて来る気配がする。

そして振り返ると、
  
 
  「ハロー フレンド」
  
 
もう最初はこれがイヤでイヤでたまりませんでした。
立ち止まることさえ怖かった。

しかし、彼らはビジネスなんです。
金を持っていて、交渉の下手な日本人。
 
 
 上客なんです。
 
 
こちらが怖いと感じている感情は十分かれらに伝わっています。
だから、ヤツらを好きになればいい。
 
 
旅の最後になると慣れていました。
 
 
駅に着くでしょ。

必ずリキシャが集まってくる。
みんな目が血走ってる。
私の手をひっぱるしわだらけの手。
 
 
もう"ゾンビ"なんて可愛いものです。
 
 
そこで日本語で一言 ←大声がポイント

 
  声の大きいのは自信の現れ
  これは万国共通です。
 
 
  「この中で誰が一番年上なんや!」
 
  
彼らは驚きます。

だって日本語を堂々と話す日本人はそういません。
日本人はあいまいな笑顔を浮かべながら

下手な英語で
 
 
  アイムソーリ~
 
 
  ノーサンキュ~
 
 
って、決まっていますから。

そして最初にパンチをはなった私が主導権を握ります
 
 
  「だ、れ、が、い、ち、ば、ん、と、し、う、え?」
 
 
この言葉、
絶対に理解できるはずはありません。


でもね、

一瞬静まった空気の中から、
勇気のあるじっさまが私の言葉を無視してまた私の手を握る。


  それが運命。
 
 
私はそのじっさまと本気で戦いを始めるのです。


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インドで長距離バスに乗りました。

旅が最後の方でしたので、
自分がどこにいるのやら、どこに向かっているのやら、
あんまり深く考えていなかった時期です。
  
 
まずバスに乗り込むと...
というかバスに乗れないんです!
 
 
定員50名くらいのバスなんですが、
きっと100名くらい乗ってる!
 
 
  窓から子供のおしりがつきだしてるし...


長距離バスですよ。
ちょっと隣町まで買い物といった感じではありません。

 
 
バスが停車して扉が開いた瞬間、
おばさんが転げ落ちてきたんです!
 
 
しかし私も負けていられません!
 
おばさんの背中を優しく押しながら、
一緒にバスに乗り込んだんです。
 
 
バスの料金の支払いは日本でもいろんな
方法があるからややこしいですね。
 
 
  インドのバス料金の支払い方法?
 
 
もうそんな事をガイドブックで調べる
気持ちなんて全くありません。
  
   
  とにかくバスに乗ればなんとかる!
 
 
  インドはこれでいける!
 
 
  というか世界はこれでいけるのだ!
 
 
イケイケの状態でした。
 
 
それでもインドはあなどれません。
そんな私でも、やっぱり驚いた事があったんです!
 
 
 車内は満員です。
 少しイメージしてくださいね。
 
 
普通バスの運転手の左側に
シフトレバーがありますよね?
 
インドも右ハンドルの国なので運転座席は右。
そしてシフトレバーは運転手の左側。
 
そしてそのバスでは、
 
そのシフトレバーを股にはさんで、
進行方向から90度右に、つまり運転手に向かって座っている
 
 
 じっさま がいたんです。
 
 
ものすごく威厳のある長老のような じっさま。
 
 
イメージできるでしょうか?
 
運転手はとても運転しづらい状況なのに、
平気な顔をして運転しているんです。
 
じっさまの股間から突き出したシフトレバーを
平然と握って運転してる。
 
嘘ではありません本当の話です。
 
   
  話がそれます。

  日本の道はアスファルトを敷き詰めて
  整備されている所が多いです。

  というか、

  私はアスファルトの上しか車で走った事がありませんでした。
  インドのバスは土の上を走るんです。

  ものすごく、でこぼこした道の上を何時間も走るんです。

  でこぼこ道ですから、
  バスは時速40kmくらいしか出せません。

  それでも水たまりの上をバスが通ると
  バスは大きくバウンドするんです。

  それに連れて例の長老も上へ飛ぶんです。
  顔色ひとつかえずに威厳を保ったまま。

  もうおかしくておかしくて。

  ・
  ・
  ・

そうこうしてる間に人をかきわけて車掌が来ました。
何やら話しかけてくるけれど言葉がさっぱり分かりません。
 
 
きっと行き先を聞いているんだろうと見当をつけて、
行きたい町の名前を告げると、
  
 
  「#д@ !」
 
 
多分料金の事を言ってるのだと思います。
何を言ってるのか全く分からない。
 
こんな時どうするか。
 
 
 私の経験で言えばインド人の3人に1人くらいは英語が話せます。
 
 そして、

 日本語や英語を使って話しかけてくる
 ビジネス目当てのインド人は胡散臭いですが、
 ほとんどのインド人はものすごくシャイで親切なんです。
 
 
 これが分かるまで時間がかかりました。

 インド人はみんな厚顔無恥で、
 ヒトの金を狙っているやつばかりだと思っている時期は大変でした。
 
 しかし、それはインドの上っ面。
 ほとんどのインド人はとても親切です。
 
 
さてどうするか、
 
 
  「誰か英語を話せる人はいませんか!」
 
 
って叫ぶんです。
そうすれば誰かが通訳をしてくれます。
 
 
これは私が学んだインドを旅する術。
ガイドブックなんかには書いていない大切な事。

  ・
  ・
  ・

でもね、

私はどうやらホモに好かれるらしく、
後ろに立っていたナイキのヘッドバンドをした
じっさまに3時間お尻をなでまわされる羽目になったのです。
 
このナイキ野郎もしきりに話しかけてくるんです。
 
 
  「#д@ !」
 
 
助けを呼ぶ勇気はなかった TT

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あまりにも有名なので、ご存知の方が多いと思いますが、
今日は左手のお話。

インドではトイレで用を足したあと、
左手で自分のおしりを拭きます。

どんな風にするかと言えば、
 
 
 まず最初にトイレの備え付けのコップに水を汲みます。
 
 そして、そのコップを右手に持ち、
 そのまま右後から背中づたいにおしりの穴に見当をつけて
 少しづつ水を流します。

 それと同時に左手で肛門を洗うのです。


だから左手は不浄の手なんです。
食事で左手を使ってはいけません。
 
 
  握手は必ず右手。


  お金を渡すのも右手。
 
 
まして近寄ってきた子供の頭を
左手でなでようものなら...大変な事態になります。

  ・
  ・
  ・

インドでは食事にフォークやスプーンなんか使いません。
 
 
 外人用のレストランにはあるような気がしますが、
 ここで書いている事はあくまでも、
 私の体験したインドのお話です。
 
 
食事の時には右手一本。
 
 インドの食事で一般的なのはカレー。
 日本のライスカレーをイメージしちゃうと
 誤解をまねくので少し補足しますと、

 インドのカレーは日本でいうソースのようなもの。
 いろんな料理にかけて食べるのです。
 
 
それを右手一本ですよ!
これが大変なんです。

まずチャパティ ←クレープの生地みたいなものです。
に右手でつかんだ(すくった)カレーをかける。
しかもカレーは熱いときてる!
 
 
その時点で右手はベトベト。
その右手で、チャパティを丸めて口へ運ぶ。

そしてコップにつがれた水を飲む。
コップはカレーでベトベト。
 
 
  話がそれます。

  日本人の飲む水はものすごく殺菌されていますから、
  海外で生水を飲むのはやめておいた方が良いです。

  それに慣れた体で水を飲むと、
  ほぼ間違いなくおなかをこわします。

  香港では冷蔵庫に用意されていた
  水割り用の氷でもおなかをこわし、

  タイでは野菜サラダを洗った水のために
  おなかをこわします。

  いくら高級なホテルで、
 
  「この水は飲めます」

  って書いていても避けた方が安全です。

  最近はペットボトルの水をコンビニで買って
  ホテルの冷蔵庫にいれる方が増えました。

  しかし、当時の私はそれに逆らっていました。
  水がこわくてガンジスに飛び込めるかっ!

  という感じでかなりトンガッていました。
 
 
さて、食事が進むに連れて、
右手がどんどんベタベタになるんです。

それでも我慢して食事を終えるんです。
しかし手を拭くものがない TT
 
 
それではインドの方は一体どのようにして
食事をしているのでしょうか?

彼らは指先しか使いません。
本当に器用に指先で食事をします。

そして食事を終えたらその指先をぺろり。

  ・
  ・
  ・

インドでペットボトルの水を買う時のコツのお話です。
 
 
 生水は危険だから旅行者はペットボトルの水を買う。
 
  ↓ 

 旅行者は金持ち。

  ↓

 ペットボトルの水は高く売ってもよい
 
 
という三段論法でペットボトルの水は高いです。
 
 
インドでペットボトルの水を買うときには、
必ずフタを注意深く見てくださいね。

インドの屋台で売っているペットボトルの水は、
一度開封したものに、そのあたりの水をくんで
売っているものがたくさんありますから。
 
 
私は屋台でこの開封したペットボトルを見つけたんです!
 
 
多分得意だったと思います。
悪事を見つけた正義の味方きどりだったと思います。
 
  
 「おい!これは一度開けてるだろ!」
 
 
って言ったら、
屋台のオヤジがにこりともせず、
 
 
 「その通りだジャパニ」
 
 
 「しかしお前には売ってやらない!」
 
 
う~ん。

この返事は深い。
 
 
 ペットボトルの水が安全だということは
 こちらの勝手な想像なのだ!
 
 
またしても私の負け。

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今回は私がはじめて海外にいった時のおはなし。


 私が25歳の時・・・今から約20年ほど前の事。

 転職したばっかりでした。

 自動車メーカーのエンジニアを辞めて、
 コンピュータの世界へ飛び込んだんです。

 まだインタ-ネットという言葉はなじみがうすく、
 パソコン通信だの草の根ネットなどがはやっていた時代のことです。
 
 
 日本はバブル全盛です。
 
 
 私のオフィスは大阪の北浜にありました。
 東京で言えば兜町のような所、
 すなわち証券会社が集まっている町。
 
 
 その頃は土佐堀筋を世界のスポーツカーが
 バンバン走っていたんです。


転職先の会社も儲けていました。
何せ入社2日目の私をハワイへ連れていったんですから。

さてさてはじめての海外旅行。

分からないことばかりでした。
一番悩んだのは、パスポートをどうするか。
 
 
外国でよくあるシーン。

ポリスからパスポートを見せろって言われて
もし持っていなかったらどうするのか。
 
 
 話がそれます。

 パスポートは背広の内ポケットに入れてはダメなんです。

 ポリスがパスポートを見せろって言って、
 もし背広の胸ポケットに手を入れたら、
 ほぼ間違いなく撃たれます。

 こちらが銃を出すものだと誤解されるんです。
 
 
パスポートはどうするのかずっと悩んでいました。
  
 
 フロントに預ける?
 
 
 部屋の金庫に保管する?
  
  
しかし、こりゃまずいぞ!

もし道でポリスに声をかけられて
パスポートを持っていなかったら...
 
 
不安がどんどん大きくなります。
 
 
  しかし誰にも聞けない。
 
 
今なら教えてGOOなんかでこっそり検索できるのでしょうが、
当時はそんな便利なものはありません。

まだ入社したての新人だったし、
周りの同僚達はみんなDCブランドのスーツに身を固めた連中。

私も背伸びしていました。
無理して買った25万のアルマーニ。

こっちだって見栄がありました。
 
 
  だから死んでも聞けない。
 
 
  恥ずかしい事はできない。


  ・
  ・
  ・

で、悩んだ挙句、
私は袋にパスポートを入れていつも首からぶら下げていました。

バナナ・リパブリックの短パンをはいて、
ポルシェのサングラスをかけ、
そして首からパスポート。
 
 
  ワイキキ・ビーチで泳ぐときも(笑)
 
 
もしポリスに出会ったら、
自分の胸を指して
 
 
  This is a passport!
 
 
って叫ぶ覚悟でした。

この方がよっぽど恥ずかしい!

  ・
  ・
  ・

ハワイ等のような観光ビジネスが産業の国で、
ポリスが旅行者にパスポートを見せろということはまずありません。

ですから正解は多分、
ホテルのフロントか金庫へ預けることだと思います。
ちなみにインドではフロントが一番信用できない。

まして部屋に金庫なんてありません。
やっぱり私は首からパスポートをぶらさげていました。

ガンジス河で沐浴をしたあの数分間以外はずっとです。
 
 
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インド二日目のおはなし。

まだ緊張していました。
 
 
私はカルカッタから地下鉄の駅で10個ほど北の町 
 
 
  SOVA VAZAR(ソババザール)
 
 
のマーケットを歩いていたんです。

  ・ 
  ・
  ・

 カルカッタといえばサダルストリートがあまりにも有名で、
 日本の観光旅行者やマザーテレサ・ハウスでボランティアをするような
 ヒトたちはその町に集まります。

 例えるなら、

 サダルストリートは大阪駅周辺のイメージ。
 ソババザールは千里中央のセルシーといった感じ。

 例えがローカルですみません(笑)

  ・
  ・
  ・

 ソババザールで日本人は珍しい。
 といいますか、彼らは日本という国を知りません。
 
 
  「お前はネパール人か?」
  
 
 ってよく聞かれましたから。


  「いや日本人だ」


 って答えたら、


  「そこは車で何時間で行けるんだ?」


 だって。


 だから、
 町のみんなが私を珍しそうにジロジロ見る。


 サダルストリートを歩けば5分に一回
 
 
  「ハローフレンド!」
 
 
 が始まりますが、この町は違います。


 彼らは日本語も英語もほとんど話せないので、
 私が世界一優しい日本人で、NOと言えない事を知らないんです。

 だから誰も私にビジネスを仕掛けてこない。
 
 
 単純に珍しいヤツがいるのでジロジロ見る。
 
 
   これも怖かったぁ~
 
 
 町にはマーケットが何百とあふれているんです。

 通りを歩くと、
 店番をしているインド人たちの目が私を追いかける。
 
 
 顔は動かさずに目だけが私を追いかける。
 
 
 とても買い物ができる状況ではありません。
 足早に歩く。目的がないのでただ歩く。

 1時間くらい歩いたら、
 マーケットの終点を通り越し河に出たんです。
 
 
  そこがガンジス河だって後で知りました。
 
 
 たくさんの方が沐浴をしていました。
 私はただずっと彼らを眺めていました。

  ・
  ・
  ・

 すると二人の少女が私に手を振るんです。
 最初は私の後ろに友達でもいるんだろうと考えて
 無視していたんですが、

 明らかに私に手を振っている。

 そしてカメラのシャッターを押すジェスチャーをする。

 それに気が付くまで数分。

 なんと のろまな私。
 
 
 「OK」って答えて、
 
 
 ガンジス河の岸辺に歩き出したら...
 
 
 今まで沐浴していたヒト達が私に声をかけるんです。

 意味は全く分かりません。

 でも声の調子から、
 非難しているわけでも怒っているわけでもないことがわかる。
 
 それらに分かったふりして笑顔で応え...
 
 
   これは危ない行動でした。
 
 
   分からない時は必ず事情が把握できるまで
   行動してはならないんです。

   特に何も知らない海外では。
 
 
 分かったふりして笑顔で彼女達に近づき、
 写真を撮ってあげたんです。

 そして彼女達に写真をどこに送ればいい?
 ってたずねたら、明らかに
 
 
  「バイバイ」のジェスチャー。
 
 
 今だに彼女達の真意は分かりません。

 しかし、

 この一件で私の緊張は解けたんです。
 
 
  「わははっ、どこでも人間は同じなのじゃ!」
 
 
  「わしのような良い人には女の子が寄ってくるのだ!」
 
 
 って爽やかに笑っていました。
 そしてインドが全部分かったような気になっていた時に...
 
 
  ずるっ!
 
  えっ?
 
  あれっ?
 

 まるでスローモーションのような感じで
 わたしは転んでいました。

 そうです。

 岸辺はぬるぬるしていたので、
 
  
  「すべるから注意しろ!」
 
 
 って言われていたんです。

 周りの人間が私を見て笑う。
 5~6歳の男の子達が寄ってきて私に話しかける。
 
 
 もうインドは怖くなかった。
 ガンジスが私を受け入れてくれた。

  ・
  ・
  ・

 さて、すっかり調子に乗った私は、
 再びマーケットへ出かけます。

 そこでパジャマを買ったんです。
 値段は50ルピー(150円)

 いままで緊張してた分だけ、
 もう気持ちがハイですから、
 訳の分からない言葉を連発していました。

 彼らはきっと頭のおかしいネパール人だと思ったでしょう(笑)
 
 
 さて次の日、
 買ったばかりのパジャマを洗濯して干しておいたら...
 
 
  パジャマが30cmほど縮んでいました TT
 
 
 これがインドデビューしたての私への軽い一発。
 
  
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やばい!囲まれた!
 
 
 インドについて数日目だったと思います。
 
 
  見知らぬ土地への恐怖心も少しやわらぎ、
  自分の安全弁が緩んでいたときでした。

  夜にガンジス河の岸辺を歩いていたんです。
 
 
私を3人の少年が足早に追い越し、
急に立ち止まって振り返ったんです。

顔に不敵な笑みまで浮かべてやがる...

うしろには同じように少年達が鼻で笑う気配を
たくさん感じていました。


 話がそれます。
 
 人間は何歳になっても、
 全く未経験のものごとに遭遇すると、
 3歳児レベルの判断しかできなくなるそうです。

 だからいろんな経験は、
 若い間にしておいた方がいいと思います。
 
 
  「あ~あ、ここで死ぬのか...」
 
 
 観念していました。  
 周りにはヒトがいない。

 しかも夜。

 真っ暗な夜。

 星明りだけの河岸でした。
 
 
 私は殺されるって直感したんです。
 
 今から思えばそれくらい、
 緊張していたのでしょう!
 
 
真ん中の18歳くらいの少年が私に話しかける。
 
 
  「クリケットやろうぜ!」
 
 
覚悟をきめかねてる私。
相手が何を話してるかなんて聞いていません。

アドレナリンの分泌はきっとMAX。
心臓がドキドキしてる。

ここで逃げるか戦うか...


再び少年が、
 
 
  「クリケット知ってるだろ?」
 
 
相手の話を聞いていない私。

やっぱり、戦っても勝ち目はないし...

ここは一丁土下座でもするか。
そして有金全部差し出すか...
 
滅茶苦茶チキンな想いを浮かべていた時、
 
 
うしろから チャイ が私の顔の前に
つきだされたんです。
 
 
  チャイ。

  一言で言えばミルクティーです。

  すごく小さなカップに入っていて1杯2ルピー(6円)

  インドではどこでも売っています。
  みんなこのチャイが大好きなんです。

  私も大好きな飲み物でした。
 
 
思考能力3歳児の私。

あまりの恐怖に心臓が口から飛び出しそうになってた私は、
そのチャイを払いのけたんです。

多分めちゃくちゃテンバッていました。
それから数秒間彼らとにらみあいました。


もちろんにらんでいたのは私だけ。

彼らは友好的な笑みを浮かべて、
その間じっと私の言葉を待っていたんです...

  ・
  ・
  ・ 

しばらくして、

3歳児の私がやっと
40歳のおっさんに戻った時。
 
 
  「ク、クリケット教えてくれぇ!」
 
 
って半分ベソをかきながら、
彼らに返事をしていました。

インドで野球は人気がありません。
テレビで放映してるのはプロのクリケットの試合ばかり。

小さい子供達はみんなクリケットに夢中です。
 
 
 私はラッキーだったと思います。
 
 
 ですからこの話を読んでも、
 海外で知らない土地で夜中の一人歩きはやめて
 おかれた方がいいです。

 ここには書きませんが、
 私は同じ場所で数週間後、
 一人の少年をなめてかかって、
 本当に刺されそうになったのですから...

   ・
   ・
   ・

さてさて何も分からないまま、
クリケットを教えてもらい一時間くらい遊んだあと、

ガンジスの河岸(あの"ぬるぬる"してる)で座り、
少年達20人くらいが私の周りにあつまって、
一緒にチャイを飲んでいました。

いろんな事を話したんです。

私の話を英語を話せる者が聞き、
それをみんなに伝える。
 
 
彼らは日本という国を知りたがりました。
   
  
  またまた話がそれます。
 
  海外に行けば、少し仲良くなれば
  必ず聞かれる質問
 
 
   「日本はどんな国?」
 
 
  愛国心を試される一瞬です。

  私はインドの少年達にどれだけの
  日本を伝えることができるだろうか。

  私はこの ニッポン について
  どれだけの事を知っているのだろうか...


そして、私はしどろもどろになって日本を伝える。
ものすごく知識の浅い親善大使(笑)
 
   ・
   ・
   ・

彼らは別れ間際に、
自分達の名前と住所を私の持っていたノートに書いてくれました。

それは今も持っています。

同じように私の住所と名前を彼らに渡してあります。
彼らがいつ日本に来てもいいように。
 
 
インド人が日本に来ることは大変なことです。
 
 
  ・裕福でないとダメ
 
 
  ・日本人の紹介がないとダメ
 
 
でないとビザがおりません。
これが国家同士の関係です。

インドは私のような日本人を受け入れるのに...
日本は大多数のインド人を拒否している。
 
 
 インド人はアメリカが大キライ。
 
 
 インド人は日本人が好き?
 

 日本人はインドのことをよく知らない。
 日本人はアメリカが好き。
 
 
 アメリカ人は日本なんてどうでもいい。
 アメリカ人はイギリス人が気になる...
 
 中国は、韓国は?
 
 
なんだかおかしな関係。
今日の最後は少し真面目なお話。

  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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マザーテレサの教会を探していた時の事でした。
 
 
 この教会の場所が分かりづらいんです。

 地図を片手にいろんな人に道を聞きながら探して歩くんですが、
 なかなか見つかりません。
 
   
  ちなみに私は"地球の歩き方"
  というガイドブックを丸め、

  おしりのポケットに入れて旅をしていました。

    ・
    ・
    ・

  しかし、
  
  この本は大変危険な本なんだそうです。

  インドで出会った日本人が教えてくれました。
 
 
    「こんな本持ってちゃダメですよ!」
 
 
    「私がインドに不慣れな日本人です!
    って自分で宣伝してるようなもんです」
 
    
  日本人に対して、
  ビジネスを仕掛けてくるインド人は、
  この本を見つけたら、心の中で
 
 
   「しめたっ!カモだ!」
 
  
  って思っていたんでしょうね。
 
 
  その忠告以来、私は必要な地図だけ破って、
  ガイドブックはリュックの中にしまっておきました。

  しかし

  「ハローフレンド」

  の回数は減りませんでしたが(笑)
 
 
何度も同じ通りを行き来しているうちに
前からものすごくキレイな女性が
私に微笑みかけながら向かってくるんです


真っ白なノースリーブのワンピース、
小さめの水玉プリント。
 
 
  細身で身長160cmくらい。
  
 
  笑顔が洗練されてる。


  髪型がこざっぱりしていてメークまでしてる。
 
 
ものすごく素敵な女性。

そして彼女は私に握手を求めてきた...
 
 
  【心の声】

    怪しー
 
    妖しすぎるぞ!

    わしがもてるはずがない。
    絶対に何か売ってくる。

    いやもっとヤバイ事になりそうな...
   
    あやしいぞ!

    え~い!腹をくくった!


    この瞬時の判断が身を守るのです。

    さて私の行動!

   ・
   ・ 
   ・  
   ・
   ・

わたしは最高の笑顔を作り
握手を返していました。

男って本当に美しい女性には弱いんですTT
 
 
 
で、話の結末は簡単。
彼女の目的はバクシーシ。

バクシーシの意味は以前の日記で書きました。

彼女達はそうしないと生きていけないヒト達。

子供の間はお金を稼ぐ事ができるんですが、
オトナになればそう簡単に稼げない。

だから、オトナになれば、
自分の体を傷つけるようになると聞きました。
 
 
 ・片足を切り落としたり
 
 
 ・目をつぶしたり
 
 
それが本当かどうか知りません。


しかし、

インドでは体の不自由な方をたくさん見かけます。
それが自分の意思なのかどうかは分かりませんが、

すごい光景をあちこちで見ました。
 
 
 四肢が完全に曲がっているヒト。
 
 
 雑踏の中でただ横たわっている両足のないヒト。
 
 
 駅で会った四つんばいの体勢でしか歩けないヒト。
 
 
彼女は自分の美貌を武器にした...

それだけの事。
 
 
「バクシーシ」に対する私の対応は
その時の気持ちで決めていました。

全く無視することもあったしお金を渡すこともありました。
  
  
その時はお金を渡そうと思ったんです。
そして50ルピー(150円)を渡したら...
 
 
彼女が、

  「それじゃ足りない200ルピー(600円)ください」

ときた。


私の心に変化。

聞こえないフリをして彼女から離れようとする。


すると、

すれ違いざまに小声で、
しかしものすごく冷たい声で、
 
 
  「シット!」
 
 
たぶんあの美人が、
般若のような顔になっていたことでしょう。
 
 
あとで聞いたおはなし。
彼女は有名な女性らしいです。

マザーテレザの教会には全世界から
ボランティアの志のある者たちが集まってくる。

だからバクシーシの場所として最適。
ボランティア仲間はみんな彼女の事を知っていました。
 
 
  ・
  ・ 
  ・
 
 
彼女は不幸?

たった一言で片付けられる事ではありません、

まして日本人の私が何を考えようと
何をしようとインドが変わるわけでもありません。

ただ私の知らない世界が
間違いなくインドにはありました。

  
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私は無宗教です。

信じているのは自分の生き方。
頼りにするのは自分の理性。

私の宗教観は...
  
どちらかといえば、
スタインベックの「怒りの葡萄」に
出てくる"じっさま"の宗教観に近いです。
 
  
 話がそれます。

 私は学生時代、工学部のくせに一般教養で
 宗教学を選択していました。

 そこで教材になったのが
 このスタインベックの「怒りの葡萄」

 高校時代にその本を読んでいた私は、
 当時の講師の解釈に対して随分と違和感や反発を覚え、
 結局途中から出席しなくなりましたが...
 
 
 
そんな私がインドで占いをしてもらったんです。
自分のこれからの人生について。
 
 
さて占いの始まり。

まず誕生年と日を聞かれました。
 
 
  「1963年*月*日」
 
 
そして次に生まれた時刻。
 
 
  「へぇ?」


普通自分の生まれた時刻なんて知りませんから、
正直に知らないって答えたら、
 
 
  「大丈夫。」
 
 
  「ええっ!」
 
 
余計驚きます。
大丈夫だったら聞くなよオッサン! てな感じです。
 
 
それから約5分間、
なんやら数字を足したりかけたりして、
そして結局彼の出した結論。
 
 
まず私の現在。
 
 
  「お前の親父は疲れているだろ?」
 
 
  「いいえ」 ・・・私。
 
 
  「お前の親父は病気だろ?」
  
 
  「いいえ」 ・・・私。
 
 
  「え~い!お前の親父は...」←ちょっと怒ってる
 
 
   何が何でもあててやるぞ!っていう感じでした。
   しかし私の父はもう死んでいるのです。
 
 
 
そして私の未来。
私はこの2008年がゴールデンタイム。

8時の番組ではありません。 

まして私の大好きな岡村が出てる
メチャイケでもありません。
 
 
そうゴールデンタイムとは、
やることなす事がどんどんうまくいく年だそうです。
  
 
 実はちょっと期待しています。
 
 
そしてその占い料なんですが、
なんと 3000ルピー!(9000円)
インドの物価で言えば 約10万円。


たった30分で...
 
 
その後かの占い師は
パワーストーンの商売人に変身です。
 
 
  「お前にはこの****ストーンがいい!」
  
  
  「いくら?」
 
 
  「10000ルピー!(3万円)」
 
  
  「・・・」と私。
 
 
う~ん、
恐るべき商魂のたくましさ。

   ・
   ・
   ・

やっぱり自分の人生は自分で切り開くべきですね。
他人まかせでは、とんでもない事になる(笑)
 
 
さて話が戻って宗教学の期末テストの日。
出題されたテーマが
 
 
  カミュの「異邦人」。
  
 
そう!あのあまりにも有名な冒頭。
 
 
  「今日、ママンが死んだ」
 
 
のカミュです。

試験問題は
 
 
  「主人公の青年の心理について考察せよ」
  
 
私の解答は解答用紙に潔く一行。
 
 
  「捨てるカミュあれば拾うカミュあり!」
 
 
言外に単位が欲しい頭の悪い学生の
想いを演出してみたんですが...
 
 
少し期待していたんですが...
 
  
きっちり0点をつけられました TT
 
 
人生は小手先だけでは通用しないようです(笑)

  
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カルマ(業)を落とせ!
 
 
これはバナラシに着いた夜のお話です。
 
 
  バナラシという町は
  ガンジス河の沐浴でとても有名な場所。

  ガート(沐浴場)は大きいところから、
  小さいとこころまで合わせて約60箇所。

  その中に火葬場が2ヶ所あります。

  ヒンドゥー教徒にとって、その火葬場で焼かれて、
  その灰がガンジス川に流されることが
  この世で最高(最後)の幸せなのです
 
 
  毎日たくさんの遺体が運ばれてきました。
 
 
  せまい通りを数人の家族信者が遺体を
  かついで火葬場まで歩いていくのです。

  火葬場の火が消える事はありません。

  そこで写真を撮影したら大変なことになります。
  また私のような日本人が火葬場にいるだけでも、
  彼らにとって許せない行為に映ります。
 
 

「死を待つ家」に連れていかれました。
 
 
  そこでは死を待つ老人や病人たちが、
  数百人くらいいたでしょうか、
  みんな静かに横たわっていました。

  明かりなんてありません。

  建物はホテルの廃屋といった感じです。
  あちこちで咳が聞こえます...
 
 
その暗闇の中でプリースト(僧侶)だと名乗る男が
私に話しかけたんです。
 
 
 土壁の外にガンジスが見える。
 とても静かな河を私は眺めていました。
 
 
ここにいる者たちは死んでも焼いてもらえない。
薪を購入するためのお金がないのだと。

人一人を焼くために必要な薪は60kg。
お前は縁があってここに来たのだから薪を寄付しろ。

そしてお前のカルマ(業)を落とせと。
 
 
  ちなみに薪は1kg 3000ルピー(9000円)。
 
 
お布施の単位は1kgから...
 
 
  ・
  ・  
  ・
 
 
確かに私のインド行きは、
カルマを落とす事が目的でした。

今までの半生で背負った業、
それらをすべて流したかった...
 
 
しかし!
これは相手のペースではないのか!

今まで出会ったインド人たちの中でも、
このプリーストはかなりのやり手ではないのか...

私は自分自身の理性で考えます。
そして私の返事
 
 
  「私のできる範囲でお布施をしたい」
 
 
といって100ルピー(300円)渡したんです。
すると、かの僧侶が、
 
 
  「もっとよこせ!
   それではお前のカルマは落ちない」
 
 
って言ったんです。

今までおごそかな口調で、
私に語っていた僧侶がビジネス口調で交渉に入った。
 
 
  スイッチが切り替わった。
 
 
  おう!ビジネス上等やんけ!
 
 
そうなりゃこっちも学習している。
だてに何日もインドを歩いてないんだい!
 
 
  「本当に薪は1kgで3000ルピーするんだな!」
 
 
  「私はここにしばらく滞在する」
 
 
  「今度は私が薪を買って持参する」
 
 
って言い返したら黙ってしまったんです。

そしてお前の瞳には希望があるから、
無料で明日プジャー(礼拝)をしてやるという返事。

タダなわけはありません。
お金は後からなんとでも要求できる。

別にお金が惜しいわけではなかったんです。
ガンジスで私の背負ったものが流せるなら流したかった。

プジャーでカルマが落ちるなら...
 
 
そしてそれができるなら、こんなオッサンではなく、
本物のプリ-ストに出会いたいってその時願っていました。
 
 
  でもその一瞬後に、
 
 
  ほんとにその一瞬後に。
 
 
これが ホンモノ なのだって悟ったんです。
 
 
  ホンモノは自分の中だ!
 
 
って。


  ・
  ・
  ・


さて、ここから私のインドは変わります。
基本的に"なんでもOK"のいくちゃんの誕生です。

この一週間後に私はガンジス河で沐浴をします。
 
 
毎日トライするのですが、
どうしても勇気が出なかった。
 
 
 だって水は緑色で池みたいだし、
 
 
 あちこちに死体は流れているし。
 
 
 コレラ菌は30秒で死滅するっていうし。
 
 
沐浴は止めて日本に帰ろうって何度考えたことか。
 
 
その間ガンジス河のたくさんのガートで
いろんな友達ができるんです。


  私は フク って呼ばれていました。


ガートでは有名でした。
何でもOKの日本人だって!

だから毎日朝になれば、
ホテルの前にはビジネス目当てのインド人が
たくさん集まってきていた。
 
 
  「おーい フク 起きろ!」
 
 
  「今日は***に行こうぜ」
 
 
  「今日は俺の家族に会わせてやる」
 

  「***が手に入ったぞ」
 
 
  「飯食いに行こうぜ!」
 

  「フク金くれ!」
 
 
基本的に全部受け入れたんです。
だから私の行動はみんなに筒抜け。
 
 
  「1時間前にフクは**のガ-トにいた」
 
 
  「今日の午後は***にいるらしい」
 
 
なんて情報まで飛び交っていました(笑)
 
 
  ・
  ・
  ・


さて翌日のプジャー(礼拝)は大変でした。

薪がマッチで燃えないもんだから、
固形燃料ぶち込みやがって...

もう煙たいこと煙たいこと。
 
 
この "プジャー" の話はまたあらためて書こうと思います。

  ・
  ・
  ・

ちなみに薪は1kg100ルピー(300円)。
あとでみんなに教えてもらいました。

  
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インド人に、
 
 
  「治安の悪いところはどこか?」
 
 
って聞いたら、
 
 
  「北の方には行くな!」
 
 
ってよく言われました。

そこでは紛争がおこっているので、
旅行者なんかの行くところではないと...
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
その日は夜行列車に乗りこんだんです。
いつものようにいろんなトラブルに逢いながら(笑)
 
 
 そのころはもう慣れていました。
 
 逆にものごとがスムーズに行くほうが
 変な感じなんです。
 
 
そして自分の寝台席にいくと...

 イメージしてくださいね。
 向かい合わせに2段ベットのある、
 ふつうの寝台車の光景。
 
 
その私の座ろう(寝よう)としている、
2階のベッドに男が4人体育座りをして並んでいたんです。

まるでエサを待つヒナのように。
薄暗いベッドの上で白い目玉が8つ光ってる...
そして私を上から見おろしてる。
 
 
  4対1かぁ上等やんけ!

  だてにこっちも修羅場をくぐっちゃいない!

  すぐにチケットを取り出して...

  そこは自分の席だと...

  奴らと口論を...

  えっ?

  毛皮?
 
 
そうです。彼らは全員毛皮を着ていたんです。
 
 
  話がそれます。

  インドを旅するのに最適な季節は冬。
  その時期なら、多少肌寒い日があっても、
  灼熱地獄には遭遇しません。

  私もインドを旅していたのは1月でした。

  それでも、
  ほとんどのヒトはTシャツで過ごしています。
 
 
しかし彼らは毛皮。

頭に何の生き物か知らないけれど、
尻尾のついた毛皮の帽子までかぶってる。

今まで出会ったインド人とはあきらかに違う。
 
 
  「うっ!ひるんだら負けやぁ」


  「けど、めっちゃ怖い TT」
 
 
なんて悩んでいたら、
向こうからから先制パンチ!
 
 
  「お前は誰だ!」
 
 
  「私たちは家族だった」
 
 
  「お前は明日、どこで生まれた?」
 
 
  「私たちは腹がへったのか?」
 
 
もう、ものすごく下手な英語なんです。
今までに聞いたことがないくらい

真剣に聞けばきくほどメチャクチャ。
 
 
 
しかし口調で分かる。
 
 
彼らが自分の権利を主張しているのではなく、
途方にくれたアジア人に
 
 
  「どうしたんだ?」
 
  
って聞いてる気持ちが伝わってくるんです。
 
 
   ・
   ・
   ・

  会話の途中で私は気がついていました。

  彼らは山のヒト達。
  とても厳しい山岳で生活をしている民族。

  そしてカルカッタの人達が口をそろえて言った
  気の荒い恐ろしい民族。
 
 
私も英語が下手です、ほとんど話せません。

だから彼らとのコミュニケーションに
とてつもなく時間がかかったのです。
 
 
  ・ 
  ・
  ・

出会って1時間で誤解が解けました。

彼らの席は下だったんです。
そして私の席は上。

その時にはお互い笑っていました。
彼らは下のベッドに大移動。
そして私は自分の寝床を確保。

私は自分の荷物をベッドの上で整理していました。

  ・
  ・
  ・

しばらくすると、携帯の着信音。

ものすごく意外な感じがしたんです。
彼らがモバイル(携帯)を持っているとは...

私は失礼だとは思いながら
自分の好奇心には勝てず、
上から下のベッドを覗き込んだのです。
 
 
すると彼らの中で一番年上の50歳くらいの
人物が毛皮の内ポケットに手を入れて、
重々しくふで箱を取り出した。
 
 
 プラスチックでできた
 くすんだ白色のふで箱。

 その上面に四角形の穴があけてあり、
 携帯の液晶画面が見られるように
 細工がしてあるんです。

 いったい何のために!

 どうして携帯をふで箱に...

 謎は深まります。
 
 
残念ながら理由は聞きませんでした。

多分聞いてもお互いが分かり合えるまでに、
列車が目的地に到着しそうな気がしましたから(笑)

  ・
  ・
  ・

朝になって、
私は彼らのうちの一人の若者に起こされます。

彼は英語が話せない。
でも身振りで分かる。
 
 
  「一緒に朝食を食べよう!」
 
 
私が下のベッドに降りると、
ビニール袋に乾燥した米がはいったいたものを
笑顔で渡される。
 
 
  質素な朝食。
 
 
手ですくって食べろって
身振りでみんなが私に説明する。

パサパサなのでとてものどを通らないんです。

でも、うれしかった。
 
 
 
インドでモノをくれと言われた事は何回もあった。

しかし何の下心もなく、
食事をくれたのは彼らだけ。
   
 
  人類学的な見地から...

  山岳に住む人たちは争いごとを好まない
  優しいヒトが多いのだそうです。

  彼らは昔平地に住んでいた。

  そして肥えた土地を奪い合う争いを避け、
  自ら厳しい山岳に住む選択をしたのだと。
 
 
 
うかつにも、
私は食事をしながら泣いていました。
 
 
 寝台車のベッドを4人で使うヒト達。

 彼らは一睡もしていないはず、
 上の私に気遣って小さな声で話をしていた。
 
 
涙の理由は分かりません。
でも涙があふれてとまらなかった。
 
 
  ・
  ・
  ・

列車を降りるときに長老がひとこと。
 
 
 I have a nice trip.
 
 
多分
 
 
 ハブ ア ナイス トリップ !
 
 
って言いたかったのでしょう。
  

私も大声で
 
 
  Thank you !
  I have a nice trip!
 
 
って返事をしていました。


  
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屋台で買い物をする事は多かったです。

インドには店舗を持たない屋台のお店があちこちにあります。

そこではありとあらゆるものが売っている。
しかし値札が付いていない...
 
 
  スーパーや百貨店などもあるのですが。
  ディスカウントには応じません。
  そこで買い物をしても全然面白くない。
 
  逆にぼったくられる事もありませんが(笑)
 
 
 
そうです!

屋台で欲しいものを見つけたら
小さな戦いが始まるのです。

-------------------------------------
【私の交渉方法】

 どこの国へ行っても、
 私の値段交渉はほぼ次のスタイルです。
 
 
 あまりうまいとは思いませんがご参考までに...

 まず欲しいモノをみつけたら、
 心の中で値段の見当をつけます。

 例えば気に入ったTシャツを見つけたとすると
 まず日本円で見当をつける。
 
 
  「2000円くらいかな」
 
 
 さてそこから暗算開始。

 日本とインドの経済格差は約10倍。
 すなわち日本人の100円はインドで
 1000円の価値がある。
 
 
  「インドなら200円ってとこか」
 
 
 1ルピーは約3円ですから、
 
 
  「70ルピーなら買いだな!」
 
 
 って心を決めて交渉を開始するんです。

-------------------------------------

ある時ブッダガヤで、
緑のコートを見つけました。

私は300ルピー(1000円)と見当をつける。
小さな戦いの始まり...
 
 
  「ハウマッチ?」 ・・・私
  
 
  「2000ルピー」 ・・・店のオヤジ
 
 
   さすがにオヤジは日本人を知っている。

   やるな!って感じです。

   2000ルピー(6000円)なら、
   確かに日本人が安い買い物をしたって、
   喜ぶ金額なのです。


   さすが世界一の商売上手。


   しかし私は違うぞオヤジ!
   その辺の甘い観光客と一緒にすんなよ!
 
 
  「100ルピー!(300円)」 ・・・私
 
 
   これは少し勇気が必要です。

   相手は2000ルピーだって言ってるのに、
   こちらはその20分の1の値段を
   言ってるわけですから(笑)

   日本じゃありえない。
 
 
   店のオヤジの対応はほぼ2通り。
   完全無視か本気で来るか...

   だって、

   こんなケチな日本人を相手にしなくても、
   普通の観光客を相手にすれば充分儲かるのです。

   完全無視なら縁がなかったと思ってあきらめます。
   しかし、オヤジは乗ってきた!
 
 
   「1000ルピー!(3000円)」・・・オヤジ
 
 
   間髪いれずに
 
 
   「200ルピー(600円)」・・・私
 
  
   交渉中、ネパール人の僧がオヤジに
   商品を見せろって話しかけてる。
   しかしオヤジはその僧を完全無視。
 
    
  「700ルピー!(2100円)」・・・オヤジ  
  「ファイナルプライス!」
  
 
   これが最後だジャパニ、といったところでしょうか。

   ネパールの僧が金髪女性のヌード写真のついた
   トランプをショーケースから取り出し、いくらだって聞いてる。

   しかしオヤジは私の目をみたまま、
   その僧からトランプを取り上げショーケースにもどす。

   しかも鍵までかけちゃった。

   僧を完全にシカト。
 
 
   ネパールの僧が何故か私をにらんでる。
  
 
  そして再度。
  
  
  「ファイナルプライス ミスター!」・・・オヤジ
   
 
  ええい!まだまだ!
 
 
  「300ルピー!」・・・私
 
 
  そして今度は私から
 
 
  「ファイナルプライス!」
 
 
  これなら買うぞ!の意思表示です。

 
 
  その時、オヤジが悲しそうな顔をしました。
 
 
  「お願いだからジャパニ
   こいつのコストは350ルピー。

   だから500ルピーでどうだ!」
 
 
  ここが勝負の分かれ目。
  私はあっさりと屋台の前から離れようとします。

  しかしこのオヤジ。
  もう私の手を握って離しません。
  
  「ミスター」の連発。
 
 
  しかも両手で思い切りつかんでくる。

  ええっ?

  左手でつかんでええの?
 
 
  となりの僧が連れの僧とともにこちらを見て笑ってる。


  ホントはね、
  500ルピー(1500円)なら買ってもいいんです。

  私の目標額との差は200ルピー(600円)
  だから買ってもいいんです...

  しかし日本円で600円という事は、
  彼らにとって6000円の価値がある訳で...
 
 
  ここは本気で行かないと、
  彼らに失礼だって考えました、
 
 
  「400ルピー(1200円)!」
   
  といって、私が彼の手を力強く握り返す。
  私も左手を使って(笑)

  そして交渉成立。
 
 
  となりで僧が私のことを笑っている。
  何か言ってる、

  意味は分からないけれどニュアンスで分かる。
 
 
  「日本人を屈辱した言葉」だって。
 
 
  しかし、そんな事を気にしていたら、
  世界は歩けない。
 
 
この時購入したコ-トは私の宝ものです。
インドでは暑くて一度も着ませんでしたが、
日本で冬になると必ず着ています。

1200円で手に入れた私の戦利品。


  
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バナラシはインドでも屈指の観光所。

ガンジス河を渡すボートが有名です。
ガンジス河の岸辺に何艘ものボ-トが浮かんでいます。


 そこでは観光客に、
 
 
  「ハロ-! フレンド!」
  
 
 とは誰も言いません。
 その代わりに、
 
 
  「ハロー! ボート!」
 
 
 なんです。

  ・
  ・
  ・

 ボートの基本的な観光ルートは、
 バナラシ側から約500mほどで向こう着に到着。
 そしてまた折り返してきます。(約30分くらい)

 ちなみにむこう岸にヒトは住んでいません。
 何もない荒涼としたむき出しの土地。
 
 
 そして一面の菜の花畑。
 
 
 ただただ黄色の風景。
 
 
 この一帯は不浄の地とされており、
 観光客はボートが着いても、
 あまり降りるヒトが少ないのです。
 
 
 私は岸からながめていて、
 天国ってこんな感じなのかなぁって思っていました。

   ・
   ・
   ・

 さて、このボート。

 団体の観光客を乗せるタイプから
 数人乗りの小型までいろんな種類のボートがあります。

 この日は以前日記で書いた、
 プリースト(僧侶)との出会いの翌日。

 すなわち、

 イケイケいくちゃんがデビューした日。

  ・
  ・  
  ・

ガンジス河岸を歩いていたら、
 
 
 「ハロー!ボート!」 ・・・オヤジ
 
 
 「ハウマッチ?」 ・・・ 私
 
 
 「500ルピー(1500)円」 ・・・オヤジ
 
 
  この値段高いか安いか...
  その時の私は屋台の前で値切る私ではありません。

  約20年間ずっとあこがれてた
  ガンジスを前に興奮していました。

  そして昨夜の悟りを胸に、
  かなりハイになっていました!
 
 
 「OK!」
 
 
 「1000ルピー(3000円)払うから
  むこう岸で1時間散歩させろ!」 ・・・私
 
 
 オヤジがニヤリと笑って交渉成立。
 
 
 無口な若者がボートを漕ぎ出し、
 波のないガンジスをゆっくりとすべって行く。 

 バナラシの風景がどんどん小さくなっていく。

 ただただ静寂。
 聞こえるのはボートを漕ぐ櫂がきしむ音。
 
 
 
 そして不浄の地に到着。

  
 
何もありません。

牛の死体が河岸に突き出た木の太い幹に引っかかって、
ものすごい悪臭を放っているくらい。
 
 
 静かでした。
 
  
こちらから見えるバナラシはすごく活気にあふれてる。
ものすごく対照的な風景。

あたり一面菜の花畑。

私はその不浄の地に座り込んで、
ただただ、ぼーっとしてたんです。
何も考えていなかった気がします。

すると、

ひとことも話さずにボートを漕いでいた
若者が話しかけてきた。 

ヤツの名前は バル。
 
 
 「お前はポリスマンか?」
 
 
驚くほど流暢な英語。
 
 
 「何故そんな風に思う?」・・・私
 
 
 「お前の髪型はポリスマンなのだ!」・・・バル
 
 
って勝手に決め付けられちゃったんです。
説明するのも面倒くさいから。
 
 
 「よく分かったな!」
 
 
 「俺はポリスマンだ!」
 
 
って言ったら、
 
 
 「OK!」
 
 
って親指を上に向けたアメリカンスタイルで、
ウインクして返事しやがった。
 
 
 お前の嘘は全部わかってるよ!
 
 お前も調子のいいヤツだな!
 
 
っていうウインクです。
 
 
 複雑な会話(笑)

  ・
  ・
  ・

無口だったバルは帰りは饒舌です。
 
 
 「お前はいつインドにやってきた?」
 
 
 「お前はどこに泊まっている?」
 
 
 「いつまでここにいる?」
 
 
 「今晩どこで食事を取る?」
 
 
そう!

バナラシではすべて受け入れるつもりでしたから、
全部正直に返事してやった。

彼は明らかに興奮していました。
 
 
 ボートを値切らず、
 
 
 言い値の倍の値段でチャーターした日本人。
 
 
ものすごいカモを見つけたんですから(笑)
 
 
ここから先のお話はしばらく
連載で書いて行くつもりです。

  ・
  ・  
  ・

私はインドにあこがれていました。
25歳の時偶然読んだインドの本に魅せられて。

40歳になるまで、
自分の首につながれた鎖を断ち切る勇気が持てなかった。

しかしある事がきっかけで...

いろいろあって"ここ"に辿り着いた。
 
 
  ガンガー・マー。(母なる河ガンジス)
 
 
あの日、はじめてガンジスを目にした
私の気持ちは複雑で到底説明できません。

ただただ、
 
 
  「やったらできるやん!」
 
 
  「よぉここまで来たわ!」
 
 
って一人つぶやいていました。

  
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ボートを降りてバルと別れ、

しばらくバナラシのガート(沐浴場)を散歩していました。


 バナラシにはガート(沐浴場)が約60箇所あります。
 各ガートで特色があり眺めていて全然飽きません。
  
 ガンジス河沿いに数kmほど続くでしょうか。
 
 
 
そしてどこへ行っても
 
 
  「ハロー!ボート!」
 
 
無視する事が多かったんですが、
その時は気分が良かったので、

やたら笑顔で、
 
 
  「ノーサンキュー!」
 
 
の連発。

天気は良いし、
すごく気持ちの良い散歩だったんです。
 
 
しかし、あるガートでも同じように
ボートの誘いに対して、
 
 
  「ノーサンキュ~」
 
 
という調子で応えたら、

すぐ近くにいた老人がものすごく
大きな怒った声で、
 
  
 「イエス!サンキュー!」
 
 
と一喝。
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
これは私の想像です。
 
 
 「おいジャパニ。 へらへらニヤけてサンキューの安売りするなら
  ボートに乗って彼らにお金を落としてやれ!」
 
 
と言ったのだと思います。
 
 
彼らは私にあいさつをしている訳ではない。
彼らは生活をかけてビジネスをしていたんだ...

正直少しへこみました。

しかしそんな瑣末な事に
イチイチ心を囚われていてはインドは歩けない。
 
 
  日本でも同じコト。

  つまらぬ事に囚われて心を縛られるより、
  前を向いて生きた方がどれだけ幸せなことか。
 
 
 
反省したらすぐに散歩再開。
 
 
  ・
  ・  
  ・
 
 
さてインドが長くなると後ろを見なくても、
誰かがつけて来る気配が手に取るように分かります。

ボートを降りてからずっと私はつけられていました。

後ろから来るのは二人組。
立ち止まった瞬間に何か仕掛けてくる。
 
 
  最初はこれが面倒でイヤで仕方がなかった。

  カルカッタに居るときは町を歩いていて、
  立ち止まる事はなかったんです。

  お願いだから一人にしてくれと。
 
 
何度も書きますがこの時私はイケイケ。

だから私から振り返ったんです。
そして、とびっきりの笑顔で
 
 
  「ハロー!」
 
 
って、先制パンチ。
 
 
  想像してくださいね。

  はるか昔のテレビマンガで、
  ヤッターマンというのがあったんです。

  彼らはそこに登場する
  頭の悪い二人の悪党にそっくり。

  
ボヤッキーが口を開きます。
 
 
  「お布施くれ!」
 
 
トンズラーもほぼ同時に口を開きます。

 
  「お前は日本人か?」  
 
 
二人のセリフがかぶってる(笑)
 
 
あまりにも間抜けな二人だったので、
こちらは日本語で返事。
 
 
  「一緒に昼飯食うか?」
 
 
言葉は絶対に通じません。
残念なことに彼らには私の気持ちも通じなかった。
 
 
数秒の沈黙の後、 再びボヤッキーが


  「お布施くれ!俺はプリスト(僧侶)だ。」
 
 
  ・
  ・
  ・


もし私の気持ちが、
私の表情や口調から伝わっていたら、
一緒に彼らと昼食を食べるつもりでした、

どうやら彼らの方がテンバッていて、
私を観察する余裕がなかったようです。
 
 

  バナラシ滞在中に
  この二人組とほぼ毎日顔を合わすことになりますが、
  ヤツラは決まって、
 
 
  「お布施くれ!」「お前は日本人か?」
 
 
  しか言わなかったです。

  ある時、恰幅の良い白人に
  思い切り怒鳴られていました。

  何言ったんだろ(笑)
 
 
 
さて、再び散歩を続けると、
今度はさわやかな青年が話しかけてきた。
 
 
少し日本語がうまい。
 
 
  「こんにちは」
 
 
  「私は日本語を勉強している」
 
 
  「もしイヤでなければガイドをしたい」
  
 
  「もちろんお金はいらない」
 
 
 
私は少し緊張。
 
  
 こいつはデキル!

 インドに慣れてない日本人なら
 多分イチコロだろうな。
 
  
まぁええか。命まで取らんやろ。
   
 
  「それじゃガイドをお願いしようかな」
 
 
  「まずは一緒に昼食を食べよう!」
 
 
 
小悪党ディパックの登場。
 
 
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インドで出会った日本人旅行者は
大きく分けて2種類のタイプに別れます。
 
 
 ・日本人と接触する事を極力嫌うタイプ
  多分一匹狼なのでしょう
 
 
 ・日本人を見つけたら近寄ってくるタイプ
 
 
ディパックと昼食を取っていた時のお話です。
レストランで会った日本人の彼は後者でした。
 
 
 
真っ黒に日焼けした顔。

少し神経質そうに顔をしかめるクセがありますが、
言葉は大変ていねいです。

年齢は25歳くらい。
 
 
 「失礼ですが日本の方ですか?」 と彼
 
 
 「一緒に食事をしても良いですか?」 と彼
 
 
 「もちろん、どうぞ!」 と私。


  ・ 
  ・
  ・
 
 
私の横にはディパックがいました。
いきがかり上3人で食事をすることに...
 
 
そしてディパックがトイレに立った時。
 
 
 「インド人を信用してはいけません」
 
 
 「あなたはインドの怖さを
  知らないだろうけれど私はインドに詳しい」
 
 
 「10万円でインドに一年滞在している」
 
 
もうマシンガンのような勢いで一方的に話します。
多分淋しかったのでしょう。

私は聞き役にまわります。
 
 
 「円とルピーの交換レートは...」
 
 
 「デリーは病んでいる」
 
 
 「バナラシを明日発つつもり...」
 
   
 「旅は一人が最高!」
 
 
トイレから戻り、

空気を読んだディパックが別のテーブルに
自分の食事を持って移動。

熱心に話している彼はその事にさえ気付かない。
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
コミュニケーションって、
会話のキャッチボ-ルじゃないですか。

そんな一方的に話さなくても...

つきあいの下手なヒトだ。
 
 
  だからインドで自分を探しているのかな?
 
 
まだまだ話は続きます。

そして30分くらい一方的にまくしたてた後、
まだ自分の食事が来ないことに腹を立て、
 
 
 「食事を早く持ってこい!」
 
 
って怒ってしまいました。
 
 
  ここはインド。

  インドに馴染めばいいのに...
 
 
 
でもすぐに思い直したんです、

これが彼のインドなのだと。
 
 
ディパックが少し悲しそうな眼で彼を眺めていました。

 
 
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食事を終えて私が一言。
 
 
  「ルンギーを買いたいんだ!」
 
 
ルンギーとはインドの人たちが
腰巻きに使用しているおしゃれな布のことです。

ガンジスで沐浴するために一つ欲しかったんです。
 
 
 「いいところ知ってるよ」とディパック
  
 
 「じゃ案内してくれ!」と私
 
 
連れていかれたのは、
屋台ではなく、とても立派なお店。

バナラシの高級ショップ街といった感じの所まで、約30分くらい歩きました。
バナラシは道が細すぎてリキシャが使えないんです。

着いたところは京都で今でも見かけるような呉服屋の風情です。
まずは店の中でチャイ(ミルクティー)をご馳走になる。
 
 
  私が言うのも何ですが(笑)

  これは絶対に危険ですから
  やめておいて下さいね。

  インドでは保険サギというのがありまして、
  このチャイにクスリが入っています。

  チャイを飲むと熱が出たり、
  下痢をしたりと大変なことになります。

  そこで医者にかかると、
  ものすごく高い治療費を請求される。

  しかし旅行者に損害はありません、
  その高額な治療費は旅行保険で支払われるのです。

  さてこのサギ、誰が得をするのでしょうか?

    ・
    ・
    ・

  そうです。

  医者とクスリを飲ませた連中がグルなのです。
 
 
 
チャイが危険だって、
そんな事は百も承知でした。

ディパックとルンギー屋がグル。

可能性としては五分五分。
 
 
  まぁええか。

  そんな事いちいち気にしていたら、
  なんもでけへんしな。

  命までは取らんやろ...
 
 
私はチャイをありがたく頂戴し。
ルンギーの品定めを開始。

そこの若旦那(彼は二代目だそうです)が
丸まったルンギーを私の前に放り投げてくるくるとほどきます。

私が気にいらないと言えば、
番頭さんがその生地をまるめて棚に戻す。

このやりとりが10回くらい続いたでしょうか。

ようやく私の気にいったルンギーが登場しました。
いよいよ交渉開始です。
  

  「ハウマッチ?」 私
 
 
  「500ルピー(¥1500)」 若旦那
 
 
  500ルピー。

  彼らにとっては15000円の価格。

  しかし経済的に恵まれた
  日本人の私にとっては1500円の価値。

  交渉しようか?するまいか...

  屋台でみかけたルンギーは50ルピー(150円)

  ディパックを試すか...
 
 
日本語で、
 
 
  「おいディパック、このルンギーは高くないか?」
 
 
するとディパックが
  

  「私が交渉します!」
 
 
彼も日本語で答える。
 
 
そして結局、240ルピー(720円)で決着。
ディパックを先に店の外に出しお金を支払おうとすると...
 
 
  「おいジャパニ!あいつはやめておけ!」 若旦那
 
 
  「どうして?」 私
 
 
  「あいつはお前の金を根こそぎ頂戴するぞ!」 若旦那


  「今回の商売であいつの取り分は40ルピー」若旦那
 
 
  「今から俺がバナラシを案内してやる」 若旦那
 
 
  007みたいでしょ?

  みんな
 
 
   「あいつは信じるな」
 
 
   「俺だけを信じろ」
 
 
  って言います(笑)
 
 
  私は
 
 
   「みんな信じてるよ!」
 
 
  という気分でしたから、
  何も恐れるものはなかったんですけど。

  この呼吸が楽しめないと、
  インドは絶対に面白くないです。
 
 
さて、若旦那の申し出とアドバイスに対して
ていねいにお断りをしお礼を言って店の外に出たら...

デイパックがさびしそうな顔して店の前で立ってる
 
 
  「せっかく日本人の客を連れていったのに」
 
 
  「カレンダーしかくれなかった」
 
 
   嘘つけ(笑)
 
 
 
まぁええか。
しばらくこいつとつきあうか。

そして私がお得な?買い物をしたお礼に
チップを100ルピー(300円)渡そうとすると

彼は、
 
 
 「日本語の勉強だからいらない!」
 
  
と返事。

う~ん、なかなかの腕前。
こいつはいったん引く事を心得てやがる。


  ルンギー屋から40ルピー、
  私から100ルピー。
  あわせて140ルピー(420円)

  彼らの感覚で4200円のガイドフィー。

  たった一時間で4200円のアルバイト料。
  なかなか割りのいい仕事のはずなんですが、
  彼は断ってきた。
 
 
私からいくら引き出す算段なんだろ?

  ・
  ・
  ・

私はこの絶対的な10倍の経済的優位を与えてくれている
日本に生まれた事に感謝しながら...

次の大切な行動を開始。
 
 
  「ディパック、いいホテルを知ってるか?」
 
 
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「どこかいいホテルを知らないか?」
 
 
  高級ホテルはさておき、
  インドのホテルにバスタブはありません。
  シャワーがあるだけ。

  しかも私が泊まったホテルは冷水しか
  出なかったんです。
 
 
 
 「知ってるよ!」 ディパック
 
 
 「じゃそこに案内してくれ」 私
 
 
 
もう陽は暮れていました。
ホテルに向かうためにディパックがボートに乗ろうと私を誘う。
 
 
  夜のガンジス河はとても静かです。
 
 
  バナラシ側に明かりが見える。
 
 
  火葬場の火が大きく燃えていました。
 
 
  ボートは静かに水の上をすべって行きます。
 
 
怖かったんですが、

ちょっと勇気を出してその河に手をつけてみたんです。
なんだか冷たくて心地よい感じがしました。

  ・ 
  ・ 
  ・

さてホテルに到着。
ここから毎度お決まりの会話。
 
 
 「いくらだ?」
 
 
 「カギはかかるのか?」
 
 
 「シャワーはあるのか?」
 
 
 「部屋を見せてくれ」
 
 
ディパックの紹介してくれたホテルは
悪くなかった。


 一泊50ルピー(150円)
 
 
温水のシャワーもちゃんと出たし、
小さなレストラン(食堂)もついている。
 
 
  OKならば宿帳にサインをします。
  宿帳にはパスポ-ト番号を記入しないといけない。

  パスポート番号は暗記していました。

  パスポートはいつも首からつるした袋に
  現金と一緒にいれていたので、

  パスポートを取り出す時、
  現金を見たモノが強盗に豹変するのを
  恐れていたのでした。
 
 
  アメリカでキャシュコーナーで20ドルを
  引き出した日本人の女性が、
  背後にいた男に撃ち殺された。

  男は20ドルが欲しかった。

  日本人にとって約2000円。
  2000円で奪われた命。
 
 
  
ディパックにお礼を言うと、
 
 
 「フク。明日も迎えに来るから。」
 
 
という返事を残して彼は帰っていきます。

  ・ 
  ・
  ・

さて今度はホテルのオーナーが私に近づいてくる。
 
 
 「あいつはやめておけジャパニ」
 
 
 「ガイドが必要なら俺がしてやる!」
 
 
本当に毎度毎度の事なので笑ってしまいます。
日本人はよほど素敵な上客なのでしょう(笑)

  ・
  ・ 
  ・

そのホテルで食堂に向かう途中のこと

階段がせまくて天井が低いんです。
前を歩いていたスキンヘッドの黒人が天井に頭をぶつけて
  

 「ファック!」
 
 
そして食堂からの帰りにも同じ場所で頭をぶつけて
 
 
 「OH!ファック!」
 
 
もうおかしくておかしくて...

バナラシ二日目の夜でした。
 
  
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「深い河」という本があります
バナラシに着けば読もう! って決めていたんです。
 
 
  インド・ツアーに参加する人々から物語は始まります。
  磯辺は中年のサラリーマン。
  彼は妻を失い、その臨終の言葉から
  妻が再生してほしいという願いにとり憑かれています。

  無論、彼は妻の死を受け人れていますが、
  それを納得することができないでいます。
  妻の臨終の言葉。
 
 
   「必ず生まれ変わるから、私を探して...」
 
 
  インドのある場所に生まれ変わったという妻を求めて、
  彼はインドのバナラシへのツアーに参加します。
  偶然妻の臨終を看取ってくれた女性、
  成瀬美津子に巡り会う。
 
 
 遠藤周作先生の代表作の一つです。
 
 
 内容について後は詳しくは書きませんが、
 この本を読んでインドにあこがれた方は多いです。

 私はバナラシのホテルで、
 暗い明かりを頼りに一晩で一気にこの本を読んでしまいました。

 本を読み終えた時窓からガンジスの朝焼けを見たんです。

 徹夜したせいもあるのでしょうが、
 ものすごく気分は"ハイ"でした。
 
 
 
そして、思った事。
 
 
 「そこに描かれた *** に行きたい!」
 
  
   ・
   ・ 
   ・

一時間くらいでしょうか少しうとうとしていたんです。
するとホテルの窓の下で叫ぶ声がする。
 
 
 「フク!起きろ!」
 
 
 「フク!ボートに乗ろう!」
 
 
ディパックが来た!


朝食を一緒に食べながら、
 
  
 「ディパック *** 知ってるか?」 私
 
 
 「知ってる」 ディパック
 
 
 「そこに案内してくれ!」 私
 
 
 「そこは遠いよ!」  ディパック
 
 
 「ボートなら時間かかるから
  車をチャーターしなくちゃいけない」
 
 
そして彼の要求した交通費が

 10000ルピー(3万円)
 インドの相場で30万円。
 
 
***に行けるなら、

自分の目で「深い河」に描かれた、
***を見れるならお金は惜しくない。

しかしディパックの話が本当か嘘か...
そしてどうしてそんなに高い交通費がいるのか。

う~ん。

ここは思案のしどころでした。

そして私の結論。
 
 
 インターネットカフェで情報検索。
 
 
  今世界はどこでも
  同じ状況なのではないでしょうか。

  どこに行ってもネットカフェがある。
  そこには世界中を旅する若者が、
  インターネットを通じて
  "英語"で母国とコミュニケーションを取っている。
 
 
バナラシにあるネットカフェに飛び込み、
30分20ルピー(60円)でパソコンの前に座る。
 
 
 しかし!

 なんと日本語が入力できないではないか!
 
 
  すみません、ここから少し専門用語が出ます(笑)
 
 
 それじゃFEPを組み込んじゃうか...

 えーと、マイコンピュータを操作してっと、
 しかし英語のマニュアルは本当に分かりづらい...

 すると後ろから店番の若者がブツブツ何か言ってる。
 少し小太りのオタク青年。

 彼らの態度は不思議に全世界共通です。

 モジモジしながらうつ向いて小声で話します。
 私の目は絶対に見ません。
 
 
  「システムを勝手に変えると困るんだよな...」 青年
 
 
  「それじゃあなたが日本語を使えるようにしてください」 私
 
 
  「僕はできるけど面倒だから...」 青年
 
 
  「できるなら、お願いだからやってください」 私
 
 
  「責任者と相談...」 青年
 
 
  「・・・」 無言で100ルピー(300円)差し出す私 TT
 
 
 
少しトラブルもありながら、
「深い河」についての情報検索をします。

  ・
  ・
  ・

約1時間ほどかかったでしょうか、
結果、非常に残念なことに、
その場所***は遠藤周作先生の創作だと分かりました。

ネットカフェの前で待ってるディパックに一言。
 
 
 「***はフィクションだったぞ!」
 
 
すると間髪いれずに彼の返事


 「場所なんてどこでもいい!
  きっと楽しい旅行になってたよ フク!」
 
 
しかし一声10000ルピーとは
なかなか勝負に出たもんだ。

バナラシ三日目は天気が悪く、
朝から雨が降っていました。

 
  
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ブルシット!

そう、外国映画なんかでくやしい時に使う言葉。
直訳すれば牛の糞。

  ・
  ・ 
  ・

バナラシ3日目の午後。
ディパックと別れて一人でバナラシを散歩。

バナラシには野牛がたくさんいます。
せまい通りを平然と歩いています。

今日のバナラシは雨でした。
 
  
  石だたみのせまい道が
  牛のウンコでいっぱいなんです。

  そこに雨が降ってるもんだから、もうぐちゃぐちゃ。
 
 
一方私の格好は素足にサーファーサンダル。
10年くらい気に入って履いてるホーキンス。

足の裏がつるつるだから、
よくすべるんですよ!
 
 
 こいつが糞まみれ。
 
 
 Gパンも糞まみれ。


でも、なんだか楽しかったです。
 
 
 雨の日に傘をささずに歩くこと。
 
 
 どろどろのぬかるみを歩くこと。
 
 
一人で歩いていると、
毎度のパターン。
 
 
 「ハロー!ボート!」
 
 
何人かかわして歩いていたら、
初日のボ-ト屋のオヤジが、
 
 
 「今晩祭りがある。ボートに乗って見に行こうぜ!フク」

  ・
  ・
  ・

 えっ?名前を知ってる?
 
 
 「今日の夜7時ホテルまで迎えに行く」
 
 
 ええっ!ホテルまで知ってる?
 
 
 ディパックの野郎言いふらしてやがる(笑)
 
 
 
まぁええか。
 
 
オヤジに約束してその場を離れたんです。

すると前からバルが走って来る。
牛のウンコを踏み散らして...
 
 
 「ボートなら俺のボートに乗れよ!」
 
 
 「安くするぞ!」
 
 
 「おいフク友達だろ!」
 
 
 
バルの声を遠くで聞きながら...
 
 
少し体が熱い...
昨日徹夜したせいか頭も痛い。

雨に体を濡らしたせいかな、

やばいな、風邪ひいたみたい。
 
 
 これでガンジスに飛び込んだら、
 ちょっとやばいぞ...
 
 
という訳でクスリ屋を探すことに。

やっと見つけたクスリ屋さん。
日本でおなじみの薬局とほとんど同じ店構えです

そこのオヤジには威厳と優しさがありました。
 
 
 「どうした?」 オヤジ
 
 
 「少し熱があるみたい」 私
 
 
 「それならこれだ」 オヤジ
 
 
 そして一箱買おうとしたら、
 
 
 「4粒でOK!ジャパニ」
 
 
 「一箱買ってもお金が勿体ないよ!」
 
 
   インドの風邪クスリ。
   はっきり言ってめちゃくちゃ効きます。

   薬事法の関係なのか何なのか...

   詳しい事は分かりませんが、
   たった半日で風邪は全快しました。
 
 
 
 インド人は信じられない!

 そんな事は絶対ありません。

 日本語を話せたり、
 日本人がどんな性質なのかをよく知っている者達が、
 ビジネス(サギ?)を仕掛けてくるだけなんです。

 一般的なインド人はとても親切です。
 
 
 あえて言い切るなら、

 笑顔で近寄ってくるインド人に
 ろくなヤツはいません。

 しかし、

 こちらから声をかけて頼ったインド人は
 みんないいヒトでした

  ・
  ・
  ・

その夜。

ボートに乗って祭りを見に行ったんです。

夜のガンジス。

やっぱり静かです。

まだ雨がしとしと降っていたので、
体が湿って気持ち悪かったんですが...

  ・
  ・
  ・

しばらくすると遠くで音がする。

太鼓の音に混ざって、
明らかにスピーカーから聞こえるヒトの歌声。
そして、それらを打ち消すような大歓声。

音がだんだん近づいてくる。

まだ何も見えないんです。
 
 
  ボートはバナラシを右手に、
  不浄の土地を左手に、

  下流へ向かって進んでいました。
 
 
バナラシ側の明かりだけが少し見える、
町並みの輪郭がまるで影絵のように美しい。
 
 
  ドキドキする。

  まるで自分が敵地に侵入する
  インディージョンズのような気持ちです。

  昼間はたくさんボートがいたのに、
  夜のボートは自分達だけ。

  たまに淡水イルカがはねているのでしょう
  
  「ジャボン」という音が聞こえる。
 
 
そして、

自分の目の前に開けた光景は想像以上でした。
何百人、何千人のヒトがガートに集まってる。

盆踊りの提灯のようなものまでつるされて、
真ん中にステージまでこしらえてある。

ものすごい熱気。
ものすごい盛り上がり。
 
 
 これが何の祭なのか、
 ボート屋のオヤジに説明を聞いたのですが、
 全く要領を得ません。
 
 
 
ただなんとなくですが、
ガンジスに飛び込む決意をその時固めたんです。


  「明日決行やな!」って。
 
  
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朝から気合がはいっていました。

今日はいよいよガンジスで沐浴。
しかし朝から天気は曇り、そして寒かったんです。
 
 
 やめる言い訳はいくらでもできる。

 実は自分の人生で、何かを成す寸前でビビッてしまい、
 やめた事が何度かあります。

 しかし後になって、
 何年経ってもその時の後悔は覚えてる。

 あと少しだけ勇気を出せば良かったのに。
 
 
  ・
  ・ 
  ・
 
 
  「おーいフク起きろ!」
 
 
もう人が真剣に悩んでるのに...
ディパックの野郎。
 
 
  「おーいフク家族を連れてきた!」
 
 
ええっ! 
 
 
  「俺の兄弟をボートに乗せてくれ!」
 
 
  ・
  ・
  ・

まぁええか。
沐浴はまた明日にするか。
 
 
というわけでディパックを含めて
彼ら兄弟4人をボートに招待?
 
いつものようにガンジス河をボートはすべって行きます。
 
折角ですから、いろいろ話しかけてみる。
彼らは日本語が話せない。
 
 
 彼らはハイエスト・カーストだと言いました。
 
 今のインドでカーストの高位に居ても
 貧乏な者はたくさんいるのだそうです。 
 

 
「家に来ないか?」ディパック。
 
 
「私の母がフクに逢いたい」って言ってる。
 
 
 う~ん。

 またしても自分が試される瞬間。
 
  
 全部危険回避すれば安全な旅はできる。
 しかし、インド人の一般的な家を見てみたい。

 何か出されたら口をつけずにいるか...
 命までは取らんやろ...
 
 
 好奇心の勝ち。
 
 
  ・
  ・
  ・

ディパックの家は一般的なインド人の家で、
土壁でできています。

電気が通じていないので照明はありません。
家の中で一番日当たりの良い場所がおじいさんの部屋。
 
  
  田舎にある土蔵をイメージすれば、
  そこで生活しているのだと想像すれば多分はずしません。
 
 
お母さんが私にお礼を言いながら、
コップに汲んだ一杯の水を出した。
 
 
  前にも書きましたが水は怖いんです。
  特に日本人の腹は情けないくらい弱い。

  香港では水割り用の氷でさえ、
  タイでは野菜を洗った水でさえ、
  ほぼ全世界、飲み水と書かれたホテルの水でさえ、
  日本人は腹をこわすのです。

  海外旅行へ行けばパスポートの大切さの次に
  必ず説明されるのがこの水のお話。
 
 
 
なんだか自然に飲んじゃいました。

ディパックは少しずるいところがあるヤツ。
しかし日本人の金銭感覚を知っていれば当然のビジネス。
 
 
それよりもなによりも、
お母さんの一言が効いたんです。
 
 
 「ようこそ!ディパックのお友達!」
 
 
これでこの水を飲まなけりゃ、
失礼だって思ったんです。
 
 
そしたら、
向こうで兄弟と話していたディパックがとても大きな声で、
 
 
 「やめろフク!腹をこわすぞ!」
 
 
だって(笑)
 
 
少し長く時間がかかったけれど、
今のお話をディパックを通じて
お母さんに説明してもらいました。
 
 
  日本人はとてもお腹が弱いので、
  みなさんと同じ水を飲めば腹を下すこと。

  しかしそれ以上に、
  日本人は礼節を重んじる民族。

  だから人から受けたもてなしには、
  きちんと応えるのだと。
 
 
たったコップ一杯の水を飲むのに、
何を大層な説明をしたんでしょうね(笑)

いま思い出せば、大分テンバッテいますね。
自分の行いが地に付いていなかったのを思い出します。
 
 
  ・
  ・
  ・

さて、
この日の午後、プジャー(礼拝)を受けます。

バナラシに着いた初日、
私に薪を売りつけようとしたプリスト(僧侶)の再登場です。
 
  
  
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プジャー(礼拝)を受けました。
 
 
 日記「インドでの出会い ~僧侶」
 で書いたプリスト(僧侶)、名前はババ師。
 
 目的は自分の背負ってきたカルマ(業)を落とすこと。
 
 
 しかしこのプリスト、
 なかなか怪しいんです(笑)
 
 
  ・ 
  ・
  ・
 
 
まず彼の家に連れて行かれました。

そこは土壁でおおわれた正方形の土間が
縦に二つ並んでいるだけ。

入り口と小さな窓があるだけ。
 
 
 
 和風に言えば4畳半の続きの間です。
 仕切りはありません、

 ぶちぬきです。
 
 
そして土間には死者を弔うための、
野菜やお菓子が焚き火の周りにもられていました。
 
いよいよプジャー(礼拝)の始まりです。
 
 
  「今から私の言う言葉を復唱しなさい」 ババ師
 
 
  「オーム!」ババ師
  
 
  「オーム!」 私
 
  
  「************」ババ師
 
 
   ババ師の話した言葉は私にとって未知のことば。

   耳慣れぬ言葉を復唱することは、
   大変難しいんです。

   少し前のサンマの番組で、
   ボビーオロゴンが変な日本語を話したでしょ。

   あんな感じを想像してくださいね。
 
 
  「############」 私
 
 
  「オーム!」ババ師
   
 
  「オーム!」 私

 
  「************」ババ師
 

  「############」 私
 
 
   オームだけは言えるんです。
 
 
 
  「オーム!」ババ師
  
 
  「オーム!」 私
 
 
  「************」ババ師
 
  
  「############」 私
 
 
  「************」ババ師
 
 
   この時点でババ師の口元が笑っています。
   ものすごく可笑しかったのでしょう。

   少し声も揺れてる。

   厳粛なムードぶち壊しです(笑)
 
 
 
5分くらい、このやりとりが続きます。
多分ババ師にとっては拷問に近い状態だったようです。

唇かんで笑うのをこらえていました。

  ・
  ・
  ・

次に、焚き火に火をつけます。

しかし薪がしめっていて、
マッチを何本すっても火がつかないんです。
 
 
 「ちょっと待て」 ババ師
 
 
彼は奥に引っ込んだかと思うと、
片手に固形燃料を持っている。

そいつを焚き火にくべて、
マッチを...
 
 
もう煙たいこと!
涙がとまらないんです。
 
 
ババ師は眉一つ動かさずに儀式を進行します。
何かしら唱えている。

私はただ涙。
 
 
  面白可笑しく書いていますが、
  私はその時、大真面目で礼拝を受けていました。

  このババ師がどれだけ怪しくってもかまわない。

  だってホンモノは自分の中にある。

  自分が信じて、
  この儀式を受け入れれば、
  きっと何かが変わる。

  バナラシ初日の夜に悟った信念が、  
  私には芽生えていましたから。
 
 
 
そしてプジャーの終わりです。
 
 
ババ師がとても分かりやすい英語で
ゆっくりと話しかけてきます。
 
 
 「これでお前のカルマ(業)が落ちるだろう」 ババ師
 
 
 「ここにある野菜とお菓子のお供えは
  お前の代わりに買ってきた」 ババ師
 
 
 「500ルピー(1500円)だ!」 ババ師
 
 
   始まった。

   確か無料でプジャーをするって言ったよな、
   このババさん。

   さてさて、

   久しぶりにやる(戦う)か。
 
 
 「分かりました500ルピー(1500円)ですね」 私
   
   これで済むはずがないのだけれど、
   私はまず500ルピー(1500円)を焚き火の周りに置きます。
   500ルピーはインドの相場で1万5千円の価値、充分高いんです。
 
 
 「このプジャーにお前の気持ちのお布施をしなさい」 ババ師

   さて、どうしたものか...

   しばらく考えて私は10ルピー(30円)を置いたんです。
 
 
   その時のババさんの顔。
   ものすごく驚いていました(笑)
 
 
   まさにインド人もビックリ!
 
 
   だって日本人にお布施と言えば、
   いくら少なくても千円単位、
   
   ルピーに換算すれば
   最低1000ルピー(3000円)は期待していたはずですから。

   それに対して私は真面目な顔で10ルピー(30円)。

   いくら無料だって言っても、
   ここまで大掛かりな儀式をしておいて、
   お金を払わぬ日本人はそう居ない...
 
 
 
ババ師が静かに、
そして威厳を保った声で、
私に確実に伝わるように
 
 
  「モアー(もっとよこせ!)」
 
 
答える私。
 
 
  「サンキュー」
 
 
  これ以上ビタ一文払うもんか!
  という想いを胸に、

  しかしプジャー(礼拝)に対しては心の底から...
 
 
  「サンキュー ババさん」 笑顔の私
 
 
 
 30秒くらいの沈黙の後再び、
 
 
  「モアーマニー」 ババ師
 
 
  「サンキューベリーマッチ」 満面の笑みを浮かべた私
 
 
  だって私は本当に感謝していたんです。
  ただお金を払いたくなかっただけ。
 
 
 
するとババさん作戦を変えてきた。

今から先祖のお墓に連れて行ってやる。
といって外へ私を連れ出し誰かの墓に案内されたんです。

そこで一言。
 
 
 「お前の先祖がここにいる」
 
 
 「お供えをしろ!」
 
 
 「気持ちだけでいいぞ!」
 
 
 「でもお前のヒト月の稼ぎの半分くらいだ!」
 
 
  そうか、

  さっきお供えのお金は気前よく出したから、
  お供えで攻めるつもりだな。

  しかし稼ぎの半分とは...
  
  まぁええか 俺はプータローだ。
 
   
 「私の先祖の墓は日本にある」
 
 
 「日本に帰ってからお供えをしたい」
 
 
 「サンキューババさん」
 
 
 
 「ここにもお前の先祖はいる!」 ちょっと怒ったババ師
 
 
 「サンキューベリーマッチ ババさん」 笑顔の私
 
 
結局同じような問答が数回繰り返された後、
私は解放されました。
 
 
プジャーを終えた者は額に朱の印を入れられます。
この日はボート屋のオヤジに頼んで、
自分でボートを漕がせてもらったんです。
 
 
そして、
ガンジス河の真ん中あたりでもう一度
 
 
 「ババさんありがと」
 
 
ってつぶやいていました。 
  
  
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5日目の朝

今日も空は曇っています。
気温も寒い。

ガンジスに飛び込む勇気が出ない...
 
 
 ええか。

 このまま日本に帰るか。

 無理しても仕方ないし、
 自分が背伸びして病気になったら、
 万が一命を失う事があったら...
 
  
 でも、俺はこのためにインドにきたんや!
 ここで帰ったら絶対後悔するやろな...
 
 
  ・  
  ・
  ・
 
 
  「おい!フクボートに乗ろう!」
 
 
  「ジャパニ金くれ!」
 
 
毎朝の恒例の合唱が始まっています。 
 
この日私はブルーでした。

そして、

インドに来てはじめて日本に帰ってからの事を
考えていたんです。
 
 
  仕事辞めてインドにやって来て。

  いろんなモンを捨てて、

  憧れ続けたインドにやって来た後、

  そのあと...

  日本に帰って俺は一体何をする?
 
 
 
ものすごい不安でした。

自分が人生のレ-ルをはずれた事がなかったから...


小さいときから
 
 
 「いくちゃんみたいになりなさい!」
 
 
って近所のおばちゃんが自分の子を叱るくらい
私は優等生でした。


地方の国立大学を適当に卒業して、
某自動車メーカーに就職し、
たった数年で外資系のコンピュータ会社に転職したあの時、
バブルの恩恵をこうむった20歳台。

怖いものなんて何もなかった。

ただただ自分の未来を信じて生きてた。
そして週末のたびに、ねるとんパーティーで
女の子達と遊んでたんです。
 
 
公認会計士になるつもりで特訓した年もあった。
オウム真理教が世間をにぎわせたあの時期。

私は毎日簿記や商法の勉強をしていました。
結果は生まれて初めての敗北でしたが、
 
 
再度転職した電機メーカーで、
運良く出世して会社では課長殿。
いずれは取締役候補とまで言われ、
派閥争いの中で奮闘していた私。

派閥争いで負けて飛び出し、
前社長と興した商社で台湾からDVDを輸入し
楽天市場で荒稼ぎ。
 
 
同時に家庭を持って自治会の副会長まで努め、
市議会選挙に出ろと言われるくらいまで
地域に貢献していたのは30歳台。
 
 
 ぜーんぶ。
 
 
 ほかしてもた。
 
 
 
自分はバナラシのホテルにいました。
 
 
転職するときは先に就職先を決めてから退職する。

そんな安全な人生を歩んでいた私が、
後先考えず今インドにいる。
 
 
  
  「日本に帰ったら熊本に来い!」

  お前一人くらいどんな事をしても食べていける
  と言ってくれた親友がいました。
 
 
 
  「いくちゃん会社でもやりぃな」

  私の事を小さい時から知っている
  義理の兄がそう言ってくれてる。
 
 
 
  「塾の先生でもやろうか」

  私は大学の時からほとんど途切れず、
  20年間家庭教師をやっていました。

  小遣いも欲しかったのですが、
  それよりも私はヒトにモノを教えるのが大好きなんです。
 
 
 
いろんな事をベッドの上で考えていました。

インドでは日常から離れた生活を送れるんですが、
いざ夢から覚めて自分の状況を冷静に考えると、
不安で胸が押しつぶされそうだったんです。 
  
  
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5日目の午後。
ガンジス河を少し離れてみたんです。
 
 
 バナラシにもカルカッタ同様
 リキシャのじっさまはたくさんいます。

 彼らは人力車。

 しかしバナラシで私がよく乗ったのが、
 オートリキシャ。

 これはバイクでリヤカーを引く感じの乗り物。
 運転手は圧倒的に若い男性です。
 
 

流しのオートリキシャを通りでつかまえて、
 
 
  「マーラヴィ-ヤ橋までハウマッチ?」私


  「40ルピー(120円)」オートリキシャの兄ちゃん
 
 
  「OK」私
 
 
この兄ちゃん運転がうまい!
車の間をスイスイぬけて行く。

そしてカセットテープで聞く大音量のリズムアンドブルース。
なんか朝から憂鬱だった気分がいっぺんに晴れたんです。

くよくよ悩んでも仕方ないな!って。
 
 
 
5分くらいで目的地に到着。

チップ込みで50ルピー札(150円)を渡したら、
なんと10ルピーのお釣りが帰ってくる。
 
 
 
 インドでタクシーやリキシャに乗って
 まとまったお札を渡しても、
 普通お釣りは帰ってきません。

 勝手にチップだと判断されてしまうのです。


  ・
  ・ 
  ・

そして橋を渡ってみて心底驚いたんです!
なんと、町の風景が全く違うんです。


 倉敷の美観地区をご存知でしょうか?
 あの一帯はとても風情のある町並み。

 しかし美観地区を一歩外に出れば
 ただの地方都市の風景。
 
 
バナラシから少し離れただけで、
たった五分バイクに乗っただけで...
 
 
私の前にはビバリーヒルズばりの高級住宅街が広がっていたんです。
広い庭のついたカラフルな色の一戸建て。
 
 
  ええっ? これがインド?
 
 
本当に驚いたんです。
 
 
 ひょっとしたら私の知っているインドは、
 観光用のアトラクション施設だったのか...
 と思うくらい意外な風景。
 
 
 
 インドって不思議な国。
  
 
 ものすごい富と究極の貧困が同居している。
 もっともっとこの国の事を知りたいと思う。
 
 
 
なんて考えて歩いていたら、
恐い顔した20歳くらいの兄ちゃんが近寄ってくる。

ところが肩すかし。
彼はビジネス目的ではなかったんです。
 
 
 「お前はジャパニか?」恐い兄ちゃん
 
 
 「そうだ!」私
 
 
 「3日後にバナラシで祭があるので是非見に行け」
 
 
 「えっ?」私
 
 
彼はガイドフィーも要求せず、
単に純粋に外人と話をしたかっただけ。

そして最後に、
 
 
 「俺の自転車に乗っていけ!」
 
 
 「お前の行きたい所へ連れていってやる!」
 
 
ってボロボロのさびた自転車を指差したんです。
本当は歩いた方が早いし楽なんだけど...

私はその行為に甘えました。
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
私が旅した数週間のインドって何?

今日出会った人々は、
日本人の私にとってあまりにも当たり前のヒト達。

私はディープなインドを旅しているつもりで、
本当は上っ面しか見ていなかったのか...

観光地の客引きしか相手にしていなかったのか...

  ・
  ・
  ・

少し悩んだのですが案外結論は早く出ました。
 
 
 両方インドや。
  
 
 俺が選べばええんやな。
 
 
って。


私は再度自分の求めるガンジス河に向かって、
歩き出していたんです。

  
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バナラシ6日目。

早朝に目を覚ますと天気は晴れ。
ガンジス河に朝日があたってものすごく美しい景色。
 
 
  「今日やな」
 
 
っていよいよ決心したんです。
 
 
  ・
  ・
  ・


毎日私を起こすために集まってくる
ディパックやバルたちを、その日はホテルの前で待ちうけ。

集まった彼らに、
 
 
  「今日はガンジスで沐浴がしたい!」 私
 
 
  「やめとけ今晩熱がでるぞ」 ディパック
 
 
  「ガンジスで泳いで死んだ日本人がいる」 バル
 
 
  「俺はこのためにバナラシに来た」 私
 
 
結局ディパックのおじさんの居るガートで沐浴をすることに...
このおじさん、いつも会うたびに笑っていたんです。
 
 
 「ハロー ボート!」
 
 
 「ハロー フク!」
 
 
でも沐浴したいって言ったら顔が真剣になった。

まず裸になってルンギーを巻き、
ガート(沐浴場)に腰掛けたら、
 
 
 「俺のいう通りに復唱しろ」
  
  
プジャー(礼拝)をしてくれたんです。

薄汚いランニングシャツを着たおじさん。
彼は決してプリスト(僧侶)ではないのに。
 
 
数分間のプジャ-を終えて、
いよいよガンジスに足を入れたら、
 
  
 水が冷たい。
 
 
少し岸を離れて深いところまで歩く。
河底がぬるぬるしている。

そこで思い切って肩まで体をつけてみる。
近くに居た若者から石鹸が飛んできた。
 
 
 「これで洗え フク!」
 
 
岸にはおじさんやバル・ディパックたち。
みんなに見守られて自分はガンジスに抱かれている...
 
 
少し躊躇したんですが、
ガンジスに頭をつけたんです。
 
 
岸から


 「ストップ フク!」
 
 
の声が聞こえる。


無視して潜ってみた。
水の中は緑色。

池の中を泳いでいるみたい...
 
 
 コレラ菌が30秒で死んでしまう水。
 
 
あの時私は死んだ。


  フクオカイクヤはシンダ。

  40年間守ってきたもの。

  自分が心の支えにしてきたもの。
  ヒトに対して絶対に譲れなかったもの。

  固執してきたモノすべて。

  自分が幸せになりたい!
  って願って、結局囚われていたものすべて。

  ガンジスで流しちゃった。
  死んだらおしまいナンダ
 
 
たった数十秒の経験ですが、
私はあの時間違いなく死にました。
 
 
  そして再生。
 
 
ガンジス河に頭を出した時。
私の体には活力がみなぎっていたのです。
 
 
熱が出るとか、
自分がガンジスの水で死ぬなんて、
少しも考えなかったんです。

ガンジス河の水でうがいをしながら、
 
 
 日本に帰るか...
 
 
って考えていました。
 
 
  ・
  ・
  ・
 

  「そろそろ上がれ!」
 
 
  「このガートでジャパニが沐浴するのを
  ポリスが見つけるとまずい!」
 
 
っておじさんに言われて、
河から上がったんです。

そしたら、
 
 
 「お前にプジャーをしてやる」
 
 
おじさんがプジャーをしてくれた。
 
 
  ガンジス河にとびこむ前は
  ものすごい緊張していたから、
  その時は放心状態なんです。

  でも、心は穏やかでした。
   
  
後について頓珍漢な復唱をしますが、
おじさん笑いません。
 
 
  目で分かるんです。
 
 
このヒトが遠い国からやってきた
ジャパニのために本気でプジャーをしているのが...

プジャーが終わってもお金を受け取りません。
 
 
その後、例のボート屋のオヤジが寄ってきて、
 
 
 「ガンジスで沐浴をした後プジャーを受けたら、
  ボートに乗って河の真ん中を三周するんだ」
 
 
って言う。

多分ウソです(笑)
 
 
 
 「いくらだ?」 私
 
 
 「500ルピー!」オヤジ
 
 
 「負けろよ(笑)」 私
 
 
 「これが最後やろ(笑)」オヤジ
  
  

 ボートの値段を値切った事はなかったんですが、
 少しイタズラしただけです。

 オヤジも私の気持ちが分かっている様子。
 しかも今日でバナラシを離れることさえ気付いてる。
 
 
 バナラシ滞在中、
 何度も乗ったボートが岸から離れてガンジスの上をすべる。
 
 
 その時自分の中で
 こみ上げてくるものがあったんです
 
 
  「ごめんな お父ちゃん」
 
 
  「ごめんな お母ちゃん」
 
 
 自分が今まで関わってきたヒトをできる限り思い出し、
 そのヒト達にあやまっていたんです。
 
 
  号泣。
 
 
 ボートの上で男泣きに泣きました。
 
 
  何故あの時あやまったのか...
 
 
  
ボートが三周を終える。
 
 
 「もうちょっといるか?」オヤジ
 
 
 「たのむ」私 
 
 
  答えながら、
  まるで子供が泣いてるみたいなんです。
  
 
  "ひっくひっく" 言ってる。
 
 
10分くらい、ぐずっていたんですが、
その後タバコを一服。
 
 
何度も見たガンジスからのバナラシの町並み。
相変わらず美しい。
 
 
  そろそろ日本や。
 
 
ってまた考えていました。
 
 
  ・
  ・
  ・
 
 
これで私のインドの回想録はおしまいです。

この後、

ラージギールやブッダガヤへ行き、
性懲りもなくいろんな目に遭い...
 
 
 ラージギールは危険なトコロ。
 バナラシの友達はみんなヤメロっていった場所。
 
 
最後はカルカッタへ戻って、
いろんなヤツラにリベンジを挑むのですが...
 
いつか機会があれば書きますね。

  
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